ノンフィクション新世紀(石井光太他)の書評・感想

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石井光太責任編集 ノンフィクション新世紀 ---世界を変える、現実を書く。

本書は、ノンフィクション作家として独特のスタイルを持ち、独特の立ち位置を築きつつある石井光太が編集長を務めた、様々な形でノンフィクションを扱った、ノンフィクション読本、という感じの作品です。
ざっとどんな構成になっているのか書きましょう。
本書のメインとなるものを三つ挙げるとするならば、
「ノンフィクション連続講座」
「ノンフィクションベスト30」
「ノンフィクション年表1980-2011」
の三つになるでしょうか。
「ノンフィクション連続講座」は、ノンフィクション作家や編集者になりたいと考えている人向けに行われた有料の講座で、本書で収録されているのは、松本仁一・森達也・高木徹・藤原新也の四人です。
実は僕は、松本仁一・森達也の講座に行って来ました。
別に僕はノンフィクション作家になりたいとか編集者になりたいとかいうわけではないんですけど、単純にノンフィクションというものに関心があるんで、面白そうだなと思って行ってみることにしました。なので、松本仁一・森達也の部分は知っている話だったんですけど、読み返しても面白かったなと思います。
ここで収録されている四人は、出自やスタイルはまったく違うノンフィクション作家です。松本仁一は元朝日新聞社の記者であり、森達也は基本的にドキュメンタリーに軸足を置いているフリーだ。高木徹はNHKのディレクターとしてドキュメンタリーを撮っているし、藤原新也は成り行きで文章を書いたり写真を撮ったりするようになった、と語っている。
そんな彼らが、石井光太と対談するような形で、自身のこれまでの仕事や、そこで培われてきたスタイル、ノンフィクションというものに対する思いや今後の展望など、様々なことを語っていく。
「ノンフィクションベスト30」は、石井光太が選出したのだろう16人に、自身のノンフィクションベスト30を選出してもらう、というものだ。角幡唯介や柳田邦男らのノンフィクション作家もいれば、角田光代や花田紀凱や河瀬直美といった、ノンフィクション作家以外の人選もある。彼らが選ぶ『ノンフィクション』は多様で、人によってはそれはノンフィクションではないと感じる作品も挙げられているだろう(何せ、村上春樹の「1Q84」を挙げている人もいるのだ)。しかし、その辺りまで含めて面白い。それは、ノンフィクションというジャンルの幅広さや何でも受け入れる許容力みたいなものの現れのような気がしている。読みたい本が増えて実に困る。
「ノンフィクション年表1980-2011」はその名の通り、過去30年間のノンフィクションを概観するものだ。もちろん、出版されたものすべてを取り上げられるわけもないが、石井光太を含む数人で、その時代を代表するノンフィクションを3冊選出しちょっとしたコラム的文章をつけ、あとは1行の内容紹介とともにたくさんのノンフィクションが紹介されるというスタイルになっている。まあ読みたい本が増えて困る。
これ以外にどんなものがあるかを、以下で箇条書きにしてみよう

「雑誌編集者の軌跡 ノンフィクションが生まれる現場で働く」
元文藝春秋の花田紀凱、元集英社の鈴木力、講談社の矢吹俊吉の三人を呼び、雑誌編集者の視点からノンフィクションとの関わりやそれぞれの時代の有り様などを語ってもらう

「書店員座談会 ノンフィクションは、売れる。」
三省堂書店営業本部・内田剛、紀伊國屋書店新宿本店仕入課課長代理・大藪宏一、オリオン書房サザン店店長・白川浩介、丸善丸の内本店和書グループ・高頭佐和子の四人が、書店員の立場から、「ノンフィクションを売る」ことについて語る

感想

読みたい本がガリガリ増えたんで、そういえばあれは部屋のどこかにはあったよなぁ、みたいなことを思い出しつつ部屋の本を漁ったり、本屋の棚をウロウロしてみようと思います。やっぱりどうにかして、もっとノンフィクションがナチュラルに読まれる雰囲気になるといいし、そうなるように、売り手として自分も努力しないといけないなと思います。とりあえず近々の目標として、本書をメインとして常設の「ノンフィクション棚」を作ろうかな、とか思っています。是非読んでみて下さい。

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