その科学が成功を決める(リチャード・ワイズマン)の書評・感想

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その科学が成功を決める (文春文庫)

本書は、なかなか面白い経歴の大学教授による、世の中に様々に出回っている「成功法則」に疑問符を叩きつける作品です。
なんと著者は元プロマジシャンだったようで、それから大学で博士号を取り、膨大な被験者のデータを分析する科学的アプローチを得意とする心理学の研究を行なっているそうです。
本書の内容について、巻末で訳者が非常に簡潔にまとめているので、それを引用しようと思います。

『自己啓発の方法には、たしかに科学的根拠のないかなりあやしげないものもある。その一方、科学的な裏づけのある方法は理解して実行するのに時間がかかり、一般の人にはなじみにくい。科学的な裏づけがあって、しかも簡単にできる方法はないものか。それを模索するために、ワイズマンは心理学の幅広い分野から研究論文のほか「ネイチャー」や「サイエンス」などの科学雑誌の記事を何百種類も克明に調べた(本書の巻末の参考資料をご覧いただければ一目瞭然、その数はまさに圧倒的だ)。そのうえさらにテレビやインターネットなどで、みずからユニークな実験もおこなった。その結果生まれたのがこの本である。』

本書を的確に表現した内容紹介です。
では、本書の構成をもう少し具体的に書いてみましょう。
本書は、様々なジャンル(後で触れます)で章を割っていて、それぞれの章でまず、一般的に信じられている俗説について検証される。その中には、それなりに正しいだろうと判断されるものもあるのだけど、ほとんどの場合俗説は科学的な根拠がない。つまり、やっても意味がないか、時にはやると悪影響をもたらす、ということが示される。
本書は、決してそれだけでは終わらない。それではじゃあ、科学的に正しさがある程度実証されており、さらに実行するのに簡単な方法はないのか。それを著者は、様々な実験結果を読みあさったり、自らも実験したりして得られた知見からいくつかの方法を見出し、それについて紹介しています。
本書で扱われるジャンルは多種多様で、自己啓発から面接のノウハウ、婚活やストレス解消やダイエット、果ては離婚や子育てまで、とにかくあらゆるジャンルについて、俗説の誤りと正しい方法が紹介されます。
一応本書でどんなジャンルが扱われているか分かりやすいように、各章の章題を全部書いてみます。

実験1「「自己啓発」はあなたを不幸にする!」
実験2「「面接マニュアル」は役立たずだった!」
実験3「イメージトレーニングは逆効果」
実験4「まちがいだらけの創造力向上ノウハウ」
実験5「婚活サイトに騙されるな」
実験6「ストレス解消法のウソ」
実験7「離婚の危機に瀕しているあなたに」
実験8「決断力の罠」
実験9「「ほめる教育」の落とし穴」
実験10「心理テストの虚と実」

さて、僕は本書を非常に面白い本だと評価しているのだけど、それには大きな理由が一つあります。
それは、実験による裏づけがある、という点です。
本書の巻末には、すべて英語ですけど、本書で取り上げた実験がどの文献のどこに載っているのか、という一覧があります。実際に本書に載っている各種実験について、元データを確認しようとする人はほとんどいないでしょうけど、でも少なくとも本書は、本書で書かれている内容について本当であるかどうか、元の情報にアクセスすることが可能である、という点が非常に大きいなと思っています。

感想

他にもまだまだたくさんあるけど、これぐらいにしとこうか。短い文章で説明しちゃってるんで、具体的な話は是非本書を読んでみて下さい。
自己啓発とかダイエット本などのいわゆる「成功法則」が書かれた本は僕は全然信じたり出来ないし、凄く嫌いなのだけど、本書は非常に面白いと思います。実験による裏づけがあること、そして実験が適切に行われているように思えること。なかなかこういう条件を満たせる成功法則本は少ないだろうなと思います。どうしても成功法則本に手を出してしまうけど全然成功できない、という人にも読んでほしいですけど、成功法則本なんて胡散臭いよなぁ、と思っている人にも是非読んでほしい作品です。

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