さすが池井戸潤!下町ロケットの書評・感想

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下町ロケット

こんな仕事がしたい!!
もうほんっとうに、こんな仕事がしたいぞ!!

とりあえず内容に入ります。
佃航平はかつて、宇宙科学開発機構の研究者として、ロケットの要であるエンジンの製作に携わっていた。
セイレーンと名付けられたそのロケットは、しかし打ち上げに失敗した。
膨大な額の国費を投入しての失敗に、最終的に佃は責任をとって辞めざるを得なくなった。打ち上げ失敗の原因は、エンジンシステムの根幹を成すバルブシステムにあったからだ。
そうして佃は、元々継ぐつもりのなかった、父が創業した町工場の社長に収まることになった。
大田区にあり、資本金三千万円、売上百億円足らずの、まさに中小企業だ。小型エンジンを主力としてはいるが、研究開発に無尽蔵のお金を注ぎ込み、すぐにお金に変わるわけではない技術研究にも余念がない。というか、主力であるはずの小型エンジンの研究費を削ってでもチャレンジングな研究を続ける方針に、苛立っている若手もいる。そんな状況だ。
しかし、いずれにせよ、佃製作所の技術力はトップレベルだ。
なのに、佃製作所は様々なとんでもない事態に見舞われる。
ライバル会社であるナカシマ工業が、佃製作所を特許侵害で訴えてきた。
ナカシマ工業は、流行りものがあればそれに乗っかって類似の技術を提示するやり口で成長してきた。一部上場企業であるが、その横暴さに泣かされた中小企業は多い。ナカシマ工業の法定戦略はもはや熟練の域に達しており、今回の訴訟も、どちらかと言えばナカシマ工業の方が佃製作所の特許を侵害しているとさえいえる状況なのに、佃製作所の特許の不備を突き、訴訟を長引かせて佃製作所の経営が行き詰るのを待つ、といういつものナカシマ工業のやり口だ。
最大手の取引先である京浜マシナリーが、エンジンの内製化に踏み切ったことで取引を取りやめると言ってきたのも痛い。銀行からの融資もなかなか引き出せず、そんな中でのこの訴訟である。一部上場企業であるナカシマ工業が訴訟に踏み切ったのだからそこには相応の何かがあるのだろうと、銀行もこれまでの取引先も佃製作所から離れつつあった。
一方、帝国重工の宇宙航空部宇宙開発グループは、ある事実に驚愕していた。
同グループは、政府から民間委託された大型ロケットの製造開発をイッテに引き受け、宇宙航空関係の国内最大のメーカーである。
その帝国重工は、社長の肝入りの「スターダスト計画」という壮大なプロジェクトを立ち上げ、すべての技術を内製化し、宇宙航空開発で世界のトップに立とうというプランを推し進めていた。
しかしその計画は早くも躓いた。ロケットエンジンのキーテクノロジーであるバブルシステムを帝国重工でも開発したのだが、その特許がタッチの差で別の会社が申請していたというのだ。
それが、佃製作所だ。
担当の財前は、佃製作所からその特許を買い取るために交渉に赴くが…。
というような話です。
いやはやいやはや!!もう素晴らしいのなんの!!もうかんっぺきに最高で素晴らしい物語でした!!僕の中で、今年読んだ本の中でダントツのトップはもう決まってたんですけど、ちょっと考えなおさないといけないかも。これも、今年読んだ本のトップだと言いたくなる作品だなぁ。小説読んで泣いたのなんか、ホント久しぶりですよ。
もう、初めにも書いたけど、とにかく読んでてずっと思ったのは、「こんな会社で仕事をしたい!!」ってことです。

感想

本書は、冒頭から訴訟問題というクリティカルな問題から始まるのだけど、そんなことが大した問題とは思えなくなるほど、帝国重工とのやり取りはスリリングだ。元々は、ビジネスの話だった。佃製作所が持つ特許を、帝国重工がいくらで買うか、という話だった。しかし次第にそれは、ビジネスと呼ぶには熱くなりすぎていく。どちらが何を売り、どちらが何を買うかという話ではなくなっていく。プライドなんていうちっぽけなものも、時間と共にゆっくりと剥がれ落ちていく。
残ったものはなんだろう。ちょっと書くのは恥ずかしいけど、「魂」かなぁ、なんて思う。「魂」は人だけに宿るのではない。会社にも宿るのだ。そしてそれは、巨像をも跳ね飛ばすほどの力を持つ。素晴らしいではないか!!
色々書きたいんだけど、これぐらにしとこうかな。本当に素晴らしすぎる物語でした。今更読んだのかよ、って感じですけど(笑)、本当にこの作品に出会えてよかったな

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