理系の恋文教室(海野幸)の書評・感想

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理系の恋文教室 (二見書房 シャレード文庫)

本書はBL小説で、前回読んだ、朝丘戻。「あめの帰るところ」に続く、人生二度目のBLです。
今回は、「ほら『理系』って書いてあるから買わなくちゃ」という謎の理由によりこの本を勧められて、まあいいかということで買ってみることにしました。
理系学部しかないキャンパスで、一番不人気な研究室の教授である春井は、伊瀬君によく叱られ、それでいて仕事を手伝ってもらったりしているという、情けない教授である。
伊瀬君は、「なぜウチの大学に?」と誰しもが思うほどの成績優秀者だ。東大後期レベルの物理の試験で満点を叩きだしたことでその名は広く知られ、学内のあらゆる研究室から引く手あまただった。
なのに伊瀬君は、学内一不人気で、「落ちこぼれの避難所」と呼ばれる春井研究室にやってきた。学内一人気研究室の竹中教授などは、どうにか伊瀬君を引きぬきたくて仕方がないようだ。
しかし、私にだって理由はわからない。誰か教えて欲しいくらいだ。
伊瀬君は、怖い。私なんかよりもプログラミングの知識はあるし、雑務全般の効率もいい。人に仕事を振ることが出来ずに仕事を溜め込んだり、生徒に要領よく説明出来ない講義下手である自分が、なんだか悲しくなってくる。伊瀬君はことあるごとに私を叱り飛ばし、だから私は伊瀬君を恐れるようになってしまったのだ。絶対に嫌われている。どうして伊瀬君がウチの研究室に来てくれたのか、それはさっぱりわからないけど、でも絶対に軽蔑されているし、私は伊瀬君が怖い。
ある時、誰もいない研究室にポツンと置かれたパソコンを何気なく見たら、それは伊瀬君が書いているらしい恋文だった。『貴方のことが好きです。だから、やらせてください』なんていう、直截すぎるラブレターを期せずして見ることになってしまった私は、成り行きで伊瀬君のラブレターの添削をすることになったのだが…。
というような話です。
今回も、思ったよりは読める作品でした。っていうか、「あめの帰るところ」より理解しやすい設定だったなぁ。
まず、「恋文を添削する」っていう設定が秀逸じゃないですか。いや、秀逸っていっても、普通の物語の中ではこっ恥ずかしくてちょっと成立し得ない設定だと思うけど、こういう、「好きだと思っている相手にそうと悟らせずに恋文の添削をさせる」なんていう恥ずかしい設定が普通に成立しちゃうBLっていうジャンルの包容力のデカさは凄いなと思います。これが、普通の恋愛小説とかで使われてたらちょっとゲンナリするけど、BLなんだと思って読むと、なんかアリな気がしちゃう。
もうちょっと理由を考えてみると、たぶんそれこそ男同士だからなんだろうなぁ、という気がします。男女間の場合、「恋文の添削」っていう設定には余計な邪推が入ったりするような気がします。要するに、「完全に自分のことではない」という前提に立てるわけではない、と言いますか。
でもBLの場合、「完全に自分のことであるはずがない」という前提に立てます。男同士だからありえないでしょう、と。それが、BLという設定の中で「恋文の添削」という状況がそこまでこっ恥ずかしくない理由なのかな、という感じもします。
まあ当然のことながら、「普通男同士で恋文の添削なんかするはずがない」というまた別のこっ恥ずかしさが現れてくるはずなんですけど(まあ、別に女子同士でも恋文の添削なんかしないでしょうけど)、でもそれはこの作品の設定が結構うまくカバーしています。

感想

ただ、「あめの帰るところ」との最大の違いは、本書には絡みのシーンが結構ちゃんとあった、ということですね。正直、その部分はザザッと読んだ感じですね。さすがに、絡みのシーンはちょっとまともに読むのは辛い。男同士かー、と思うと、なんというか心がしんどいですね(笑)。さらに、絡みシーンの挿絵も一個あったりして、むむむ…って感じでした。いや、まあ、大抵のBLは絡まないと終われないんだろうけど、男がBLを読む上で絡みのシーンはちょっと難関だなぁと思いました。
ちょっと時間がないんでざっくりした感想ですけど、今回もなかなか読める作品でした。まあたまにはこうやって、普段読まない本を読んでみようというチャレンジを心がけているのであります。

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