世界を変えるオシゴト(マリー・ソー他)の書評・感想

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世界を変えるオシゴト 社会起業家になったふたりの女の子の感動物語 (講談社BIZ)

僕は昔、山本弘の「詩羽のいる街」という小説を読んで、凄く感動したことがある。ストーリーはこうだ。
ある街に、詩羽という女の子がいる。詩羽は、家もお金も持たないまま生活をしている。体を売っているとかそういうわけではない。
一体彼女は、どんな風にして生きているのか?
その街に住むAさんは、自分の仕事(あるいは趣味)について、何らかの問題を抱えている。その問題は、Xというものがあれば解決するんだけど、それが手に入る予定は今のところない(高くて買えないとか、そう見つかるもんじゃない、とか)。同じ街に住むBさんは、Xを持っていて、しかもBさんにとってそのXは不要なものであり、むしろ手放したいと思っている。
この二人の需要と供給をマッチングさせることが出来れば非常に良い。でも、同じ街にいても、なかなかそこまえ情報が回ってくることはない。
詩羽は、その街に住むありとあらゆる人の情報を頭に叩き込み、誰と誰をマッチングさせればいいのかというハブの役割を果たしている。そしてその働きに対して、食事を提供したり、寝る場所を提供したりというリターンがあり、彼女はそれだけで生活出来てしまえるのだ。
社会起業家というのは、この詩羽のやっていることを、もっと世界規模に広げたようなものではないだろうか。本書を読んで、僕は「詩羽のいる街」のことを思い返した。
内容に入ろうと思います。
本書は、ヤクというウシ科の動物を放牧させるチベット人と、崇明島という、上海沖にある中国で三番目に大きい島に住む女性の貧困問題を解決するビジネスプランを生み出し、「世界を変える100人の社会起業家」にも選ばれた、世界的に注目を集めているブランド・「SHOKAY(ショーケイ)」を立ち上げた二人の社会起業家が、自らの体験を綴った作品です。
彼女たちは、ヤクの毛という、これまでファッション業界の誰も目につけてこなかった素材を見出し、さらに驚異的な編み物の能力を持つ女性たちと出会い、非常に質が高くオシャレな製品を、背景にあるストーリーと共に売り出すことで、継続的に貧困地域の人々に現金収入をもたせられるように、たった3年でしてしまった。彼女たちは一体どんな風にしてそんなことをやり遂げたのか。
二人は子どもの頃から、困っている人を見ると放っておけなかったり、高校生にして奇抜なアイデアで震災募金を集めたりと、社会起業家になる素地みたいなものはある人たちだった。とはいえ、世界の貧困問題について詳しかったわけでも、興味があったわけでもない。
彼女たちがそれに関心を持ち始めるのは、二人が出会ったハーバード大学・ケネディスクールでのことでした。ハーバード大学で有名なのは「ハーバードビジネススクール」で、こちらは経営者やビジネスマンの育成を目的としている。一方の「ケネディスクール」は、NPOやNGOで社会問題を解決できる人材の育成を目的としています。
ケネディスクールは、一般企業での実務経験が入学の際の必須条件とされる大学であり、そもそも学生の年齢層が高い。そんな中でこの著者二人は、ほぼ最年少の存在だった。それを知った二人は接近、同じ志を抱いていることを知り、仲良くなって行きます。

感想

ここには、「ただお金を稼ぐだけ」ではない働き方がある。自分たちが働いた結果どうなるのかが、手に取るようにわかる仕事がある。イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく」の中で、「お金のために働くのはやめようぜ」的なことが書かれている。僕はそれに賛同する。それは、「お金を稼がなくてもいい」ということではない。「自分以外の誰かのためになるようにお金を稼ぐ」ということだ。これからはどんどんそういう働き方が、刺激的で面白くてやりがいがあるのではないかと思う。彼女たちは、溢れんばかりの情熱と、これまで必死に学んできた学問とを見事に融合させて、まだ社会起業家というものが社会的に広く認知する以前に、実に大きなことを成し遂げた。いや、この表現は正しくないか。現在も成し遂げ続けている。そんな二人の情熱の奮闘の物語。是非読んでみてください。

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