整数論のための前菜の書評・感想

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整数論のための前菜

本書は、暗黒通信団(円周率πを百万桁までただ羅列した本を出したりしている)が出版した、整数論に関する同人誌です。「コミケ」で販売されていたもののようですが、ISBNが付与されていて、書店で流通出来る形態になっています。僕はこれを、神保町の三省堂で買いました。
本書の「はじめに」には、こんなことが書かれています。

『コミケに集う人々をはじめオタクな人たちは、どこか世間の人と雰囲気が違う。その違いは実用性を問うか否かに現れている。オタクな人々は生活で必要なものは欲しない。そのかわり「萌え」に命をかけ前収入を注ぎ込む。』

『しかし暗黒通信団のブースにきてこの本を手に取っているあなたのことだ。二次元萌えとは別の萌えに飢えているはずだ。そして知っているはずだ。数学は二次元幼女以上に萌えることを。』

『昔々、フェルマーとかオイラーとかガウスとかいう偉大なオタクたちがいて、整数に萌えまくっていた。この本は彼らの萌えのエッセンスを一口サイズにしたものだ』

そんな風に書かれている本だ。それなりに、油断して手にとったとしても仕方なかろう。まあ、僕でも理解できるんじゃないかな、「前菜」って書いてあるし、「整数論」だったら微積分とかよりどうにか理解できそうだし、コミケで売ってたっていうぐらいだしな、と。
いやいや、全然勘違いでした。僕は、数学は好きだけど別に能力があるわけではない、いわゆる「下手の横好き」ってやつで、数学は下の上ぐらいしか出来ない、という認識を持っています。恐らく本書は、下レベルの人にはちと辛いんじゃないかな、と思います。せめて中の下とか中の中ぐらいの実力のある人でないと、書かれていることは理解できないんじゃないかなぁ、という気がしました。僕は、とにかく内容についてはほとんどさっぱり理解出来ませんでした。難しすぎるでしょうよ!まあこの本も、いずれ理解できるようになったらいいなぁ。
しかし、本書を読んで改めて、結城浩「数学ガール」シリーズの凄さを思い知らされました。「数学ガール」のシリーズも、内容的にはかなり高度だと思います。けど、かなり楽しく読めるし、なによりも難しさを感じさせないところが驚異的だ。改めて、数学本も中で、「数学ガール」シリーズの凄さを思い知らされた作品でした。

感想

著者は現在、ニートのような生活をしながら数学の研究をしているようで、『大学のアカデミックポストがなければ研究ができないということに懐疑的であり、もっといろいろな研究スタイルがあると考えています。みなさんもあまり悲壮感にかられず自由なスタイルで数学をされるといいと思います。もともと数学ってそうやって楽しむものですから!』と書いている。確かに数学なら、紙とペンさえあれば(理想的には、他の研究者と議論出来る場があればもっとベストだけど、それはネット上で確保出来るでしょう)どこでも研究が出来る学問だろうなと思います。
個人的な興味に加えて、若干ネタ的に買った本ではありますが、思った以上に内容が高度で驚きました。こういうのがコミケで売られる時代って、僕はなかなか面白いなぁ、と思ったりします。

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