コミュニティデザインの時代(山崎亮)の書評・感想

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コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)

本書は、コミュニティデザイナーとして、日本中で様々な魅力的なプロジェクトを展開していることで著名であり、「つくらないデザイナー」を標榜している著者による、普段考えていること、仕事の進め方、社会の変化の捉え方など、コミュニティデザインというなかなかイメージしにくい仕事について全般的に語っている作品です。
僕の中では今、こういうコミュニティデザインとか地方と関わることとかが、自分の関心のトップに来ている。つい先日も福島に行き、農業体験をさせてもらった(旅行記はこちら)。これからも可能な限り、日本全国の面白い取り組みをしているところに足を運んで、色々見たり聞いたりしたいな、と思っている。特にやりたいこともなく、30歳になるまでダラダラ生きてきた僕ですが、なんというか、ようやくやりたいことが見つかったというか、いやそれをまだやり続けられるかどうかとか、そもそもスタートをちゃんと切れるのかとか、色々未知数ですけど、でも最近ちょっと、人生の転機ってやつを感じつつあったりするわけです。
ちょっと前に、「僕たちは島で、未来を見ることにした」という作品を読んだ。これは、本書の著者もまちづくりの一員として関わっている島根県の海士町で起業をした二人の若者の物語なんだけど、その中に、こんな文章が出てくる。

『この島が今直面している課題は、未来の日本に到来すると言われ続けている課題と同じなのです。
もし、そうした未来のコンディションの中で、持続可能な社会モデルをつくることができたら、それは社会を変えるきっかけになる。社会の希望になれる。
「この島で起こった小さなことが、社会を変えるかもしれない」』

まさに同じ視点を、山崎亮氏も持っている。

『それでは、どんな市町村がこれからの時代の先進地になり得るだろうか。都道府県の県庁所在地だろうか。きっとそうではないだろう。都道府県のなかでも中山間離島地域と呼ばれる不便な場所で、すでにここ何十年も人口が減り続けている市町村こそ、眼前にさまざまな課題が立ち現れ、その対応に追われてきた「人口減少エリート」たちが住む地域である。この人たちが発明する日々の工夫や対応策は、人口が減少する地域のなかで何をすべきなのか僕たちに教えてくれる』

『先進国のいずれもが、今後人口減少社会を経験することになる。そのとき、日本から世界のモデルとなるような事例を発信することができるかどうかは、日本における人口減少先進地がどう立ち回るのかにかかっている。つまりは、日本の中山間離島地域や地方の中小都市が、限界集落やシャッター商店街に対してどんなビジョンを示すかによるというわけだ』

僕はそれまでこういう視点をまったく持っていなくて、「僕たちは島で、未来を見ることにした」を読んで初めて、確かにその通りだよなぁと思った。確かに、これから人口が増えるとは思えない。様々な統計でもそう示唆されているのだという。いずれ大都市であっても、人口が減少に転じることがあるだろう。その時、地方で何十年も人口減と闘って来た地域こそが、日本の先進地となる。この発想は、とても面白い。能力ややる気のある人間が、何十年後かの日本全体の問題を解決するために、今過疎化している地方に入り込んで社会と関わっていくというのは、凄く合理的だし生き方としても面白いと感じる。
人口が減り続けていく社会では、これまで成功を収めてきた都市型のモデルはまったく通用しない。

感想

家賃や生活費が恐ろしく低い田舎での生活は、月収が少なくても、実は可処分所得は同等かそれ以上にすることが可能な暮らしもある、ということが書かれている。だとすればますます、都会で生活をする必然性は失われるだろう。先日、福島県の二本松市東和地区に行った時に、まさにそんなことを思った。場所はともかくとして、やっぱりこんな風に地域で頭を使って考え、コミュニティ作りに取り組んでいる地域にIターンするっていうのは、人生の選択肢としてアリだよなぁ、と。
豊かさというのは、一体なんだろう。お金や物だけが豊かさの基準ではないはずだ、という考え方は、少しずつ広まっている気がする。けど、じゃあ豊かさって何なの?って聞かれると、うまく答えられないだろう。
僕は考えてみると、「自分の意見を持ち口に出すことができる、僕とは少し違う価値観を持つ人と楽しく話をする環境」と「何らかの形で自分を表現する環境」があれば満足だなぁ

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