外国人被告人は裁判でどのように裁かれるか

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法廷の異文化と司法通訳 中国籍被告人を裁く時 (ブックレット〈アジアを学ぼう〉14) (ブックレット アジアを学ぼう)

1.内なる国際化の陰で

(1)在日外国人の増加と外国人事件

(2)司法通訳人
司法通訳人という法律上の地位や職業はなく、警察、検察庁、弁護士会、裁判所等が手続上選任する通訳人の総称
全国統一の試験や統一の資格は今のところない
通訳人志願者が自ら裁判所に連絡し、傍聴や裁判官の面接を経て通訳人名簿に登録される
→裁判官に通訳能力を評価できるのか?

外国人被告人の通訳を受ける根拠
 憲法31条の適正手続
 刑事訴訟法175条
 国際人権規約14条3項(f)

(3)要通訳事件の具体的事例

問題とされた事件では、母国語が英語ではない被告人に対して英語での通訳によって取り調べや審理がなされても手続上の違法はないと判示されている

(4)司法通訳の特殊性

3日か、4日・・・いや、違った。月曜日でした
→「月曜日でした」と訳してはいけない

何度も訊きやがって
→「何度も訊かれましたが」と訳してはいけない

一切の編集・削除はダメ、ニュアンスや使用域をそのまま

(5)裁判所にとっての司法通訳

主として試験のスコアや検定、資格等によって判断されている
→しかしそのような点だけで司法通訳の適切性は判断できない

2.訴えかける中国籍被告人

(1)日本の法廷
日本では反省を強く求めるが、中国人は反省より自分の身の上として親や子供の心配を口にする
→司法関係者は被告人の態度に不快感を示す

(2)中国の法廷
被告人と対話をする

3.耳を傾ける紛争仲裁者

(1)街道居民委員会と調停人民委員会
街道=行政区

(2)仲裁者たちの経験則
行政における調停制度による紛争解決が司法的解決よりもなじむ

4.中国籍被告人たちの文化的・歴史的背景
(1)調停→行政の一環として清代から機能
これにより、自分にとっての情や理を訴えかける場であるとの認識が強い

(2)文革後の改革路線
行政的紛争解決が主であり、司法が制度的発展をする余地がない

(3)農村での事例
損害賠償請求の時効期間を過ぎて尚お訴えが受理された
(原文では「告訴を受理」と書かれているが、この意の詳細は不明)

5.誤解の背景と司法通訳
日本の法廷において、「反省」とは「日本人らしい反省」、つまり言い訳をしない、自分の非を認める、被害者へ謝罪する、世間に詫びるを意味する
しかし中国では対話により自分の境遇を訴え、寛大な処分を求めるのであり、言い訳をしているように聞こえてしまう

異文化共生であるアメリカ合衆国
 cultural difference法理 強姦におけるモン族の略奪婚の風習
 Court Interpreter's Act 1978

日本には、司法通訳人の資格制度は存在しない
 本業以外でやっている人ばかりだが、要求される通訳能力は非常に高い
 →法倫理通訳原則(案)
 正確性のジレンマ 意訳を許さないが、かといって大きな異文化ギャップがあることを感じる

ナイジェリア人が包丁をもって金を借りた事例
 母国の風習では包丁を肩まで振り上げるのは平和の象徴→日本人には殺意にしか見えない

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