生物の最先端を、面白く知ろう

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生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

 この本は、生命科学分野「遺伝子工学分野」や、科学者の具体的な研究生活(経済的処遇)について知ることが出来る専門的な本でもあるけど、生物学的な内容にそれほど関心がない人であっても、興味深く読める科学史のエピソードや分子生物学の知見が散りばめられていて、読んでいてグイグイ惹かれるものがある。また、生物の挙動が、何となく人間くさい部分もあって、組織的なものに見立てる人もいるようだ「サッカーの岡田監督とか」。

気になったエピソード

功績がかすんでしまった野口英雄

  • 野口英雄は、どこの馬の骨とも知らない自分を拾ってくれた畏敬すべき師フレクスナーの恩義と期待に対して、報いたいという想いと、自分を冷遇した日本のアカデミズムを見返したいという思いを抱えていた。そのため、彼は奮闘するわけだけど、後々彼の研究結果は誤っていた事が判明した。
  • 「野口英雄が取ったと思われる方法」

  1.正常者と異常者で、病原菌がいたことを複数例確認する
  2.病原菌が異常者に悪影響を及ぼしている事を証明する

  • 2.の時点で、その当時の光学顕微鏡では観察する事ができないウイルスがいた事が原因で、彼の功績は、無為のものとなった。

ウイルスは生物か?

  • ウイルスは、生物か無生物かは、人によって意見が異なる。その理由として、一切の代謝(栄養摂取、呼吸)をせず、特殊な状態では結晶化するように鉱物的な性質を持つが、唯一生物的な事として、生物の細胞に寄生して、ウイルスのDNAをその細胞に渡し、ウイルスの部材を作らせ、再構成した結果、ウイルスが複製される。

DNA

  • DNAは4パターン「ATCG」存在し、AとT、CとGで対構造となっていて、片方が欠落しても、補える構造となっている。

死んだ鳥症候群

  • この症候群は、成功者が本来の目的を忘れるようなもので、本書だと、アカデミズムの世界で確固たるポジションを獲得した時には、その研究者の理想や熱情が何処かへ行ってしまっているという事を記述している。また、「それだけ過酷な世界ということでもある」

同業者による論文審査

  • 論文は、同分野の専門家によるピアレビューが行われるが、そのレビューアーがライバルである可能性もあって、人間の特性上、私情が入ることを防ぐ事はできないという事。

原子が秩序を生み出すとき

  • 生命現象に参加する粒子が少なければ、誤作動する粒子が減る事となるため、生命現象に必要な秩序の精度を上げるためにこそ、「原子はそんなに小さい」、つまり「生物はこんなに大きい」必要があること。

上記以外にも、興味深い内容が多かった。

  • 内部の内部は外部だという事
  • ラット実験で、ある遺伝子の機能を知るために、その遺伝子をノックアウトしても、他の細胞が代替として機能する事
  • 不完全な遺伝子をラットに注入すると、他の代替遺伝子との連携がうまく行かず、機能不全と起こす事。

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