谷崎潤一郎のエッセイ集。 評論集とも言えるかもしれません。陰翳礼讃

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陰翳礼讃 (中公文庫)

日本の文化とは?

いろいろなテーマを取り上げていますが、一貫しているのは新しく入ってきた西洋的なくらしを通して日本文化を見るという姿勢です。
これが書かれた時代は、西洋文化が入ってきたばかりで生活に根付いておらず、日本的な部分と西洋的な部分がごっちゃになっていたんでしょうね。
今でこそ西洋的な部分はしっかり生活に定着していてなんの疑問もないけれど、当時はその狭間であっちがいい、こっちがいいという迷いがあったんだろうと思います。

日本的な部分は今の私たちにはどれくらい残っているでしょう。
日本家屋の心地よさ、生活の中にある調度品、日本食の奥深さ、日本人らしい考え方。
すっかり忘れている、というよりは、全く知らないんじゃないかと思います。
この本の中で西洋はとにかく部屋を明るくしようとしていたけれど、日本はろうそくの灯りのもとでどれだけ生活を豊かにできるかと工夫していたということを指摘していて、本来はそれが当たり前だったのだということに気づきます。

日本人はそういうほの暗いところで生活しているから、その暗さの中で美しく見える調度品や料理が発達したとも指摘していて、なるほどなぁと新たな視点をいただいたように思います。
日常の中で使われている日本的なもの、展覧会で飾られている伝統工芸品を、暗いところで見てみようとは思わなかった。
例えば、赤い漆の塗られた器、金屏風などは、周りの明るさで見え方はずいぶん違うんでしょう。
その本来の美しさを見てみたくなりました。

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