1960年代アメリカの代表的な黒人指導者「キング牧師とマルコムX」の黒人解放運動の物語

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キング牧師とマルコムX (講談社現代新書)

はじめに

昨今、「ナショナリズム」が国内で高揚しているように思える。
過度に賛成すると排斥的になってしまい、過度に反対すると自国の存在価値を失ってしまうという難しさ。
多民族の人間が生きている限り、どこまで受け入れ、どこで妥協し、どこで線を引くかが非常に重要になってくる。
移民1000万人受け入れの話が国会でも取り上げられたりしているが、あれはどうなのだろうかと個人的には思う。
数の問題ではないという人もいるかもしれないが、数の力は強大である。そのことを忘れてはいけない。

前置きはこのくらいにして、本書は黒人公民権運動の指導者キング牧師とマルコムXを対比させてその思想・行動を読み解いていく。
興味深いのは、晩年、両者が自身の思想の「偏り」に気付き、妥協・融和に向かっていく部分である。
現代を考える上でも、黒人民権運動を再考する意義は非常に大きい。

キング牧師とマルコムX

「1960年代アメリカの代表的な黒人指導者」

時代背景

「彼らが生きた時代には、黒人の公民権運動が活発化した」

「その根本的な原因は、南北戦争後制定された憲法修正第14条(黒人の市民権の承認、1868年)と第15条(黒人の選挙権の承認、1870年)が、一時期を除いて有効に機能せず、特に南部では、黒人に保障された市民としての自由平等の権利が空文化されてきたという現実にある」

黒人取締法

「南部白人は、黒人が平等な権利を得て台頭してくることに恐怖を覚え、職業の制限、集会の禁止、火器の所有・販売の禁止などを明記した黒人取締法(black code)を制定し、戦前と同じような境遇に黒人を縛りつけ、白人にとって都合の良い社会秩序を保とうとした」

「いたる所において黒人は差別され、暴力を受けることさえあった」

マルコムX

「『黒は美しい』と叫び、黒人民族主義を訴えた」

「黒人が白人社会と訣別し独立すること、つまり人種分離を訴えた」

「マルコムは『白人は悪魔だ』と説き、黒人は白人と一緒にいるかぎり平和に暮らすことはできないと主張した」

「マルコムは完全な人種分離を唱え、公民権運動を指導するキングを『白人に迎合するアンクル=トム』だと激しく非難した」

「自分はアメリカ人であるというより、自分は黒人であるという意識が強かったマルコムは、黒人に関心を持たないアメリカという国に興味がなかった」

「マルコムは、メディアなどによってキング牧師と対照的に扱われ、過激で暴力的であるというレッテルを貼られた」

「晩年、マルコムは、白人といえばすべて差別主義者であるとするそれまでの白人観を改めるようになり、白人および彼らと協同する黒人に対する攻撃の姿勢を変え、融合と連帯を説くに至った」

キング牧師

「白人と黒人とが手を取り合うこと、つまり人種統合を目指した」

「キングが白人社会に自らを合わせようとした」

「人種の違うものが同じ土壌で同じ暮らしを送るというのは、それまでの社会では受け入れがたい「理想」論であったことは想像に難くない。しかし、理想がなければ何も始まらないし、何も変わらない」

「晩年、キングは、表面だけ理解を装うが、積極的には黒人解放への努力をしようとしない北部のリベラル白人たちを批判するようになった」

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