会社経営の成功を遠ざけてしまう「成功の罠」

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ヤバい経営学: 世界のビジネスで行われている不都合な真実

成功の罠

「成功の罠」は、ビジネスの世界では「イカロスのパラドックス」としても知られている。

イカロスはギリシア神話に登場する人物だ。イカロスは、父のダイダロスとともに迷宮の中に囚われていて、迷宮からなかなか抜け出せないでいた。最後には、二人はなんとか出口にたどり着くが、そこで自分たちは島に閉じ込められていることに気づく。そのとき、ダイダロスはいいアイディアを思いつく。ダイダロスは、空から落ちてきた鳥の羽根を集めて(鳥が飛びすぎない限りはこんなことは起きないはずだが、それが起きてしまうのがギリシア神話だ)、小枝に蜜ロウを使って貼り付けた。こうして、ダイダロスは一組の翼を作ることに成功した。

そして、ダイダロスは息子のイカロスに「イカロスよ、ここから飛び立つのだ!」と言った。最初のうちは、イカロスは「いや、父さん、この翼じゃ飛べるわけないよ」と尻込みをした。しかし、ダイダロスに「父を信じろ、その翼があれば飛べる。やってみろ」と言われ、イカロスは試してみることにした。イカロスは翼を背負い、おそるおそる両腕で羽ばたいてみると、なんと飛べるではないか!  初めのうちイカロスは、おっかなびっくり飛んでいたが、次第に自信を持ち始めて飛行を楽しむようになった。そして彼は、より高いほうへと飛んだのだ。ダイダロスは「高く飛びすぎるな!」と叫ぶが、イカロスの耳には届かず(もしくは、若者らしく無視したのかもしれないが)、イカロスはますます高く飛んでいった。その結果、イカロスは太陽に近づきすぎてしまい、蜜ロウが溶けて羽根が剝がれ落ちてきてしまう。そして最後には、イカロスは大地に落ちて死んでしまうのだ(ギリシア人は、自分たちの神話については容赦がない)。

これを、私たちは「イカロスのパラドックス」と呼ぶ。成功に導いてくれたもの、迷宮内の牢獄から抜け出し、空を飛べるようにしてくれたもの──それはイカロスの失敗の原因でもある。イカロスはうぬぼれてしまい、太陽に近づきすぎる危険性に目が向かなくなってしまったのだ。

そして、大成功している会社も、このイカロスのパラドックスに陥ってしまうことがある。特定の分野で強みを持って成功している優良な会社でも、自信過剰になり、最終的に転落につながるような新しいリスクを見過ごしてしまったりする。

しかし、何がイカロスのパラドックスの原因だろうか。いろいろな説明ができるが、その中の一つは、成功企業の経営者が経営環境の変化をどのように捉えているか、ということに関係している。ある意味では、これは古典的な視野狭窄の問題である。

成功をもたらしたものが、失敗の原因にもなることだ。会社は成功するための独自のやり方を持っていることが多く、他社が止めてしまうところでも、さらに追求し続けたりする。しかし、これをやりすぎてしまい、失敗につながることだってある。このようなやり方は、個人や企業にかかわらず、メンタルモデル(頭の中にある世界の見え方)の問題だといえる。

「個人だろうがビジネスだろうが、成功したと思った瞬間に進歩は止まってしまう」

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