何かあったら、とりあえず伊良部総合病院神経科へ「イン・ザ・プール」の書評・感想

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イン・ザ・プール (文春文庫)

伊良部総合病院の地下一階にある神経科。そこには40代前半に見えるお世辞にも清潔感があるとは言えない「とど」みたいな医師と、肉感的な色気を纏うやや露出気味で愛想の悪い美人看護婦がいる。

そこに訪れる患者は、最初は真剣に悩んでいたり、軽い気持ちで入ってみたりするものの、まず驚かされることがある。

それは、医学博士・伊良部一郎の人間像。
欲望のまま、本能のままに行動し、他人の評価なんて気にもしない。今、この時代に、ここまで他人の事を考えない人物はいるだろうか。しかも、神経科の医者だというのに。

最初は訝しむものの、そのマイペースさを見ていくうちに、ふと心が軽くなっていることに気がつく患者たち。とても治療とは言えない治療をし、注射マニアで、マザコンで、バツ1で、脂ぎってて、デブで、患者の気持ちを見るわけでもない。それなのに、そんなやつでもいいので、話を聞いてもらいたいと病院を訪れようになるのは、やはり名医なのかそれともヤブ医者なのか。

悩んでいる患者に、悩むことなんて意味がないことだと感じさせる伊良部一郎。
なんだかんだ言って、世の中は「心配かける人間」と「心配する人間」でバランスが取れているんだと実感する一冊でした。

感想

とにかくすいすいと読める一冊です。やっていることは、まぁ「くだらない」というか「ばからしい」というか、悩むという言葉の意味ってなんだっけ?と思わせる小説です。伊良部一郎くらい割り切って生きていけたら、きっと人生は楽しいだろうと思うものの、なかなか常識人だと無理だと実感させられます。ですが、思ったことは言う、やりたいことはやる、興味を持ったら飽きるまで続ける、子供のような伊良部一郎に愛着がわいてくるのも事実。悩んでモヤモヤしている人にオススメの一冊です。きっと、悩んでいることが何か、忘れさせてくれます。

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