新しいジャンルの経済小説!!財務省の階段まとめ

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財務省の階段

最初は「公債発行」、そして「日銀による直接引受」、さらには「復興国債」。
現代の日本が、今まさに直面している大きな課題を象徴する語句が次々と現れてくる。
ただし、原田が書き残しているのは、平成の世についてのものではなかった。

時はまさに大恐慌の時代。
大蔵大臣高橋是清は、就任わずか二週間後の十二月二十六日、満州事件費を含む追加予算を議会に提出している。財源としては国債発行を前提としたものだ。
三月にはインフレ政策へと大きく舵を取る。戦費調達をも苦役とした国債の発行、そして十一月にはついに日銀による国債の直接引受へと禁断の世界へ足を踏み入れていく。

五・一五事件で犬養が暗殺。そのあとを継いだ斉藤内閣は、戦費確保のうえに農村の救済と市町村立小学校への補助金など、いまでいう大きな政府への道を進み、否応なしに公債依存度が高まっていくのである。高橋是清は、国債の日銀引受により、通貨発行の限度額をそれまでの九倍近くまで引き上げ、市中に紙幣をばらまいた。強力な低金利政策と、戦費の調達も同時に可能にした。

高橋是清は、国債の日銀引受に踏み込んだが、当初から一時的な措置という認識だった。痛みをごまかす応急処置は、あくまで短期使用に限る。「麻薬」は長くは使えない。高橋自身はその早期使用中止を強く願っていたのだ。だから、昭和八年度の予算編成時には、厳しい歳出削減に転じている。しかし、それが軍部の激しい反感を買った。予算の削減にはいつも多大な抵抗がつきものである。結果、彼は青年将校たちの恨みを買い、惨殺されるという二・二六事件の悲劇を生む。

国債の日銀引受を一旦は是としたが、あくまで期限を切ろうとした高橋。極端な政策を打つときは、確固たる出口政策が不可欠だ。だが、それはどれほど困難なことか・・・。

奇策に頼ってはいけない。何としても財政の規律を守るのだ。この国は信頼を失い、通貨の価値を問われる。そのことだけは避けなければならない。目先のことに目を奪われ、安易な道を選ぼうとすると、必ずその報いを受ける。二度と、過ちを繰り返してはならないのだ。

世界に目を転じても、国債による資金の調達力は、いまや「国力」として認識される時代となっている。日本がかつてない国難に直面する今だからこそ、何があっても財政の破綻だけは起こしてはいけない。

財務省の階段

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  • 幸田真音

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