自民党が、憲法について知られたくないすべてのこと

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改憲の何が問題か

Ⅰ何が今問われているのか

■国防軍創設

国家の物理的暴力独占→軍隊
戦前におけるコントロールの失敗
草案に具体的コントロール方法は記載なし
天皇の権威との関係→政治利用

自衛隊と軍隊
明治憲法下での軍隊→一定の自律性

自衛隊=戦力ではなく自衛権を行使するだけ(政府解釈)

草案では自由を単なる国家と国民の権利義務としてしかみてない
97条 人類の多年に渡る自由獲得の成果…→最高法規性の実質的根拠

日米安保
日本の非武装化→沖縄の米軍基地化
戦後沖縄の選挙権停止
日米安保は正式な条約改定をせず全世界を対象の日米同盟に

■近代との決別

東大法卒の磯崎自民議員 立憲主義という言葉を聞いたことがないというつぶやき
→草案は憲法自体を破棄するものではないのに、なぜ立憲主義にそぐわないと批判される?

磯崎氏HP見解は概ね正しい
「自然権としての基本的人権があることは当然としても…」→自由な設計でも変えることはできない原理があると理解しているにも関わらず、草案がなぜ立憲主義の否定?

草案における前文、13条、97条の問題
「われらはこれに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」を削除
 →憲法の改正には限界があるということ、削除されることでその根底の諸原理が否定される
13条で「個人」を「人」に変える 個人という多様な存在を強調した表現の否定
97条の削除
 →人類普遍の原理否定
  しかし、98条の形式的最高性、つまり反する法律等を無効とする力をもつとする事の根拠は97条にあり憲法の実質的な最高法規性の根拠

■天皇~現代日本の人権状況 略

Ⅱ自民党憲法改正草案の問題点

■改正草案の何が問題か~9条 略

■緊急事態条項

他国にあるから日本も必要か
他国(独仏韓)では濫用問題があり制限の方向で改正されている

「緊急事態」の曖昧さ
「閣議にかけて」は閣議決定を必ずしも意味しない
法律への委任多用
武力攻撃事態法の内容から草案の文言をとってくる
→憲法の位置づけを単なる法律と同視

■精神的自由

12条、13条
公共の福祉→公益及び公の秩序
個人→人
国民の責任や義務を強調

天賦人権説の否定、憲法の枠組みの中で人権を規定し保障する
→より制限的な人権

■問題は人権規定?

他国の改正回数は日本の改憲の根拠にはならず内容が違う
草案では統治機構の改革を先送り、人権規定に手をつけている
→他国では人権には手をつけず、統治機構の改革をしている
国際社会からの客観的視点の欠如

■国会・内閣

強い参議院→ねじれによる国会の機能不全
→参議院の権限縮小は両院制の意義を損なう
閣議を不要とする首相の専権事項創設→独走
政党条項導入と政党法→新たな政治参入のハードル
投票価値の平等→緩和は最近の司法判断に逆行

■憲法尊重擁護義務と国民

国民を憲法を守るべき義務者とし、天皇・摂政の擁護義務削除
→憲法を国家を縛るルールから国民支配の道具へと変えようとする策動

自民の見解は憲法も法だから国民が遵守するのは当然というが、日本の判例・学説共に、憲法は国家権力を制約する規範で、憲法規定を直接国民に適用するものとして予定していないとする

草案は公務員一般の憲法違反の命令に抵抗する義務を規定と読める
→憲法全体の整合性の欠如

天皇の憲法尊重擁護義務の削除
→元首の天皇が憲法を不遵守という考えはありえない、天皇を公務員一般に含めたと法律論としては解釈するしかないが、自民党の方針からいえばそのような意図ではなく、大日本帝国憲法の思想

感想

本書では、受験知識としてはともかく、憲法学としての最重要分野である立憲主義について、詳しく述べられている箇所があり、前文、97条、個人の尊重などの理解もしやすい。

自民党で東大法学部卒のエリート官僚がなぜ、改正草案のような立憲主義の破壊といわれるものを作ってしまっているのか、その意味が理解できていない人(A倍さんとか)はともかくとして、法学教育においても、実は立憲主義についての理解はそれほど浸透していなかったのだということが改めて思い知らされるところでもある。

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