なぜ放射能は福島第一原子力発電所から漏れたのか?

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暮らしを守る 放射能の基礎知識

放射能はなぜ漏れたのか?

原子力発電所の原子炉では、ウラン燃料が核分裂して猛烈な熱を発生します。その際、放射能(放射性物質)もウランが小さく分裂するときに生まれてきます。ウラン燃料のある場所(炉心)は鋼鉄製の圧力容器に包まれています。また圧力容器も格納容器に覆われており、さらに格納容器は原子炉建屋の中に収められています。放射能はウラン燃料の入っている炉心で発生しますが、このように二重、三重にガードされていて、通常なら外へ漏れることはありません。

放射能が漏れた原因

大きな原因は、2011年3月11の大地震に伴う津波によって、福島第一原発の1~5号機の全電源が喪失したことでした。緊急装置の作動でウランの核分裂は止まったものの、核分裂によって出る熱(崩壊熱)を冷却する原発のシステムが停電のために動かなくなったのです。ドロドロに溶融した高熱のウラン燃料が冷やされずに、放射能を帯びたまま炉心から圧力容器の底を溶かし、さらに格納容器の底まで溶かしてしまい、外へ出ていきました。

そのうえ、地震の翌日(3月12日)に1号機の原子炉建屋で爆発が起こり、14日には3号機の建屋、15日には4号機の建屋も相次いで爆発しました。これで大量の放射能が大気中に飛び散ったのです。4月2日には2号機の取水口付近から高濃度の放射能汚染水の漏出も確認されています。このときから放射能は原発周辺の海水も汚染していったはずです。

放射能は日本列島のどこまで広がったのですか?

放射能(放射性物質)のなかで比較的質量が軽く、飛散しやすいのが「セシウム」です。文部科学省は2011年11月25日、このセシウムが沖縄県を含む45都道府県で観測された、と発表しました(福島県と宮城県では、震災で計器が壊れたために測定していません)。福島第一原発事故で大気中に放出された放射能は日本全土に降り注いだ、ということがはっきりしたのです。

セシウムの種類

セシウムにも種類がありますが、「セシウム134」と「セシウム137」の積算値(土壌に降り注いだ量)がとくに高かった県は、福島の南に位置する茨城県でした。1平方メートルあたり4万801ベクレルを記録しました。原発事故前、2009年度の同県の積算値は0.042ベクレルしかなかったので、原発事故の影響の大きさがわかります。東京都の積算値も高く、1万7354ベクレルに達しました。

放射能が集まる放射性雲(放射性ブルーム)が風で流れていき、特定の地域で雨を降らせるとそこだけ放射線量が高くなる「ホットスポット」[カード24参照]の存在も数カ所で確認されています。土壌に付いたセシウム137の量が1平方メートルあたり3万ベクレルに達した地域は長野県東部でも見つかっています。福島第一原発からの距離が遠いから大丈夫、とは言えないのが現状です。

感想

福島第一原子力発電所の事故から2年が経過しました。ときは残酷なものであれほど大きかった事故ももう人々の記憶から薄れています。今一度福島第一原子力発電所の事故を思い出し、きちんとした事故処理が進んでほしいとせつに願っています。

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