忘れてはならない津波被害の当時の現場の記録達「遺体」の書評・感想

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遺体―震災、津波の果てに―

東日本大震災から数日後の現場にフォーカスしたルポタージュ。 なので、原発関連はほとんど触れられていない。しかし、僕はそういう本を探していた。

医者でもない釜石市の職員が遺体の検案や検歯をしなくてはいけなかった事実。 体育館に運ばれる死体のほぼ全てが、流木や建材で後頭部に打撲痕や裂傷がある津波による災害死と認定されたようだ。
泥水を大量に飲んだ遺体達は、死後硬直して検案出来ないため、マッサージしてほぐさないといけなかったり、手足の血液は凝固するため、注射器を心臓に刺して採血したなど、壮絶な状況が綴られている。
避難所から外に出ると、海水にガソリンや下水、生ごみが混じっており相当な異臭だったようである。
自衛隊や市役所の職員が、総動員で遺体の回収をする光景が、まるで遺体の行進のようだったと回想している。
また、自衛隊は自衛隊のルールを守らないといけなく、まだ遺体の回収作業を続けたい隊員と部下の安全を守らねばならない隊長の焦燥する感じも丁寧に拾い上げている。
次々と検案を進めて行く中で、自分の友人や知人達が続々と見つかり「君もか…」と声を漏らしてしまう頁では思わず息を飲む。
しかし、それら以外にも章毎に複数の人の視点もある為、わざとに感情的に訴える部分が殆どなく、中立な視点で当事者の様子が描かれている。

感想

本書は今年になって西田敏行の主演で映画化された。
確かに本書には絵になりそうな項目も多い。 しかし、本編は観ていないが予告編を観る印象では、よりエモーショナルに訴える内容になっていて、この本を読んで受ける印象とは異なるのが気になった。
僕は2011年3月11日の震災当日、福岡県にいたので津波被害の当事者ではない。ネットメディアやテレビ、Twitterで友人達とその状況をみていた。
実際にやったことと言えば、関東に親族がいるので安否の確認をとったり、Twitterで有用だと思う情報を拡散した程度である。
警察庁*1によると、2013年5月10日現在、死者は15,883人、重軽傷者は6,144人、警察に届出があった行方不明者は2,676人だそうだ。
原発の方が、津波よりいまだに話題になることが不思議だが、本書で津波被害の現場から震災を知ることが出来て良かったと思う。

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