世界的な学者6人が語る、未来や生き方について

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知の逆転 (NHK出版新書 395)

ジャレド・ダイアモンド(進化生物学)

  • 世界の安定のためには、国家間の生活水準の格差をなくすべきだ。先進国は生活水準を下げる羽目になるが、それを拒否するともっと悲惨な結果になる。選択の余地はない 
  • ネットの情報は、実際に人に会って得られる情報量にはかなわない。ネットによる情報の移動より、移民や観光による人の流れの方がインパクトがある
  • 宗教は、征服欲を煽るなど人に強い動機を与える。が、宗教で説明できることは何もない。現時点では、科学が世界を理解する最も優れた手段だ

ノーム・チョムスキー(言語学)

  • 市場原理だけで動くシステムは破綻する。金融がいい例だ。資本主義の典型であるアメリカですら、主要産業は公共部門(政府の資金供給)が下支えしている
  • 歴史上、大国はみな保護政策で成長してきた。民は政府による保護を望んでいる
  • 核による抑止は、平和を保障するわけではない。核がある以上、行使する可能性がゼロではない
  • 侵略者は常に、自分が人のためになる行いをしていると真摯に信じている
  • インターネットの膨大な情報そのものは無意味。どの情報が有用かを見極めるスタンスを持とう
  • 科学は「人生の問い」に対する答えを提供できない

オリバー・サックス(脳科学)

  • 脳の適応力は驚くほど高い。全盲ながら超人的な聴覚でカバーし株式取引の仕事をこなす例がある
  • 脳の損傷が特異な能力をもたらす場合がある。ある能力の障害が、別の能力の覚醒を促すのか?
  • 音楽の能力は他の機能と独立しているようだ。知能が低くても驚異的なレベルに到達する場合がある。また、多くの記憶を失った認知症患者が、昔聴いた音楽を思い出す例がある
  • 楽しいことに没頭している時間(=平和な時間)が、芸術や科学を生み出す基盤になる

マービン・ミンスキー(コンピュータ科学)

  • ロボット工学は30年も停滞している! 原発事故でも、有効なロボットを送り込めなかった。人間型のような見た目の面白さに走り、「ドアを開ける」といった地味で実用的な能力の開発を怠ったからだ
  • 「集合知」は信じない。歴史上の知的な革命はごくわずかの天才によってなされた。一方で、集団の熱狂的な選択は独裁者の出現など危機を招いてきた
  • 思考=シンプルで論理的、感情=複雑で神秘的、という二項対立は不自然。感情こそシンプル

トム・レイトン(応用数学)

  • あらゆるものが携帯型端末へ移行し、クラウドコンピューティングがさらに進むだろう。課題はセキュリティやスペクトラム(電波の割り当て)
  • サイバー犯罪を防ぐには、政府レベルで資金を出し新しいプロトコル(通信の取決め)を開発するべき
  • メディアやeコマースに加え、教育現場もオンライン化へ向かうだろう
  • 携帯化、オンライン化の末に何が起こるか。インターネットの将来は全く予測がつかない

ジェームズ・ワトソン(分子生物学)

  • 生物学の今後の重要なテーマは「脳の発達と機能」「老化」「メタボリズム」。「がん」はついに制御できる寸前まで来た
  • 個人を尊重せよ。優れた才能を組織に埋もれさせるな。科学の進歩には、”偉大な個”が必要だ
  • いい社会とは「正直な」社会。模範解答ばかりを求められ、自由にものを言えないのはおかしい
  • 多くの人が情報に流されるまま行動するのは、深く考えなくてもいいから。立ち止まって、それは本当に必要な事柄なのか、と問いかけよう

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