キュレーションの圧倒的汎用性と将来性がわかる。石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力の書評

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石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力

第一章キュレーションとビジネスについての解説

大量生産大量消費が行き過ぎたことで、あらゆる分野で情報過多が起こり、ユーザーが知りたいもの知るのに手間がかかるようになった。必然的に必要とされるのが、雑多な情報をより分け、わかりやすく並べ直すキュレーションという能力。21世紀、もっとも先進的なキュレーターとして故スティーブジョブスを例に挙げ、ネットでもアナログでも今後需要が高まっていくであろうキュレーションの展望を解説してくれます。

第二章キュレーションが生み出す市場についての解説

ニーズではなく、ウォンツを引き出す事の重要性。いままで気づかなかった価値をユーザーに提供する事で、爆発的な需要を生み出すことができる。たとえばiPad、iPhone。無駄を極力なくし、ユーザー自身にアプリとして諸機能を提供することで、所有者個人個人に最適化された情報端末を実現した。また、任天堂のWiiについても触れられ、ゲームを限られた世代だけでなく、老若男女が楽しめるものへと押し上げた過程がわかりやすくまとめられている。

第三章編集力が革新を生むことについての解説

オフィスグリコや炊飯器付き弁当箱など、従来のモノから本当に必要な機能のみを切り出し、新たな価値を付けて商品化することについて分析されている。フィンランドのノキアが懐中電灯付き携帯電話を販売した理由や、セブン銀行が成功するまでのエピソードなど、巧みに興味を引く例が用意されているので、かなり楽しめながら読める。

第四章意味を再定義することについての解説

コンサートは眠ってはいけない、という固定観念をひっくり返し、安らかに眠るためのコンサートを企画し大成功をおさめた例や、旭山動物園の伝説的復活譚、シブヤ大学が人気を集める理由など、やはり興味深い事例を取り上げながら、それらに共通するモノの価値の再定義について解説している。「再定義できない企業は生き残れない」という断言には、なにも言えなくなる説得力がある。

第五章場のキュレーションについての解説

商品ではなく、人を集める場についてのキュレーション事例が紹介されている。例えば世界最強の集客能力をもつセブンイレブン流儀や、エキナカビジネスで大成功したエキュートにかんして、ユニークな分析や解説がなされる。

第六章キュレーションの発想法についての解説

いったいどうすれば世の中を動かすほどの発想ができるのか、その発想方法について解説されている。なにより大切なのは、自分の中にあるはずの発想を探し続けること。スティーブジョブズが商品開発の過程で市場調査をしなかったことは有名だが、そういった行為に宿る創造性の爆発力には凄まじいものがある。目的意識をひたすら鍛えることこそが至上の道なのなだなと納得した。

感想

ここに挙げた以外にも、様々な分野にわたってキュレーションの事例がまとめられていて興味深かった。どれもなるほどと頷かされるものばかりで、分析も的確。2011年末発行と少し古い書籍だが、紹介されているエピソードの芯にある発想法は、今後も十分通用するはず。キュレーションが石ころをダイヤに変える、というのは、大げさでもなんでもなく事実なのだなと理解できる。新旧、古今東西のマーケティング手法だけでなく、公道経済学などのマニアックな知識も盛り込まれているので、教養を蓄えるという意味でも読んでおいて損はない一冊だと思う。

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