エピソード記述を活用して現場を生き生きと描き出し、質的研究を強化する手法の解説。

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エピソード記述入門―実践と質的研究のために

多数の標本データを収集して共通項を抽出し、統計的な検証を行う
客観主義や実証主義の研究手法では見えない真実もある。

共通項から外れた「誤差」の中に真実を見出す質的研究も重要であり、
そのための手法として、エピソード記述が有効である。

とはいえエピソード記述は、主観的な小説や作文ではなく研究の手法なので、
・自分自身が対象に主体的に関与しながら、
・同時に客観的な視点をもち、
・問題領域への深い知見・課題認識を背景として、
・しかも読者に分かり共感が得られるよう、生き生きと説明しなければならない
ので、実施するには相当の理解・修練を必要とする。

本書では、良いエピソード記述の記述要件が解説されるともに、
実施するさいに陥りがちな失敗・悩みなどの事例パターンや、
エピソード記述の良い例・悪い例が豊富に示され解説されている。

例としては、終末医療や障がい者教育などの研究を行う大学生・大学院生が
研究の一環として実施した事例が多いが、

エピソード記述の考え方や実施上のポイントは、
ストーリー・テリング、ペルソナ、ユースケース記述などビジネスで
使用する類似した他の手法においても十分に応用できるものであり参考になった。

第2章 フィールド体験と簡単なエピソード記述の試み

  • フィールドに臨む姿勢
  • 描かれたエピソードが満たすべき条件(8つ)
  • 1つのエピソード記述が満たすべき要件
  • エピソード記述の評価

など品質面での条件が解説されている。

第3章 エピソードが描けないという悩みの出所

  • 「エピソードが描けないという以前の悩み」を5つ例示し、

それぞれについて戒めとアドバイスをしている。
(1)フィールドになじめない (2)フィールドとの板ばさみになっている、
(3)関与することで精一杯である (4)何が問題なのか見えない、
(5)面白いエピソードを拾おうという構えが強すぎる

  • ビデオテープや録音テープに依存する「捨てられない悩み」
  • 「問題の背景の理論的検討が浅いためにメタ観察ができないという悩み」
  • 「自分の立ち位置が定まらないからエピソードが書けない」

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