私たちの行動の動機付けの鍵である快感、そのメカニズムと歴史と未来。

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快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか

はじめに

・私たちが何かをしようとするとき、その動機付けの鍵となるのは快感である。
   食べ物、水、セックスが報酬的なものと感じるようにできている。
   悪徳  オーガズム、脂肪たっぷりの食べ物、金銭、向精神薬
   美徳  エクササイズ、瞑想や祈り、社会的な評価、慈善的な寄付行為

第1章  快感ボタンを押し続けるネズミ

・1953年 オールズ、ミルナーの実験。
    快感中枢に電気刺激が発せられるレバーを1時間に7000回、押し続ける
    この実験により
    学習や行動の発達は罰の回避のみで説明できるとされたモデルは否定された。

・ロバート・ガルブレイス・ヒース博士は人を被験者に。
   ヒースの患者はオールズ、ミルナーの実験のラットと同じ反応を示した。

・ドーパミンとパーキンソン病
   ドーパミン→VTA(快感回路の中枢神経)を刺激する。
   パーキンソン病の原因はVTAおよび黒質のドーパミンニューロンの減少が原因
   レボドーパ(ドーパミンの前駆物質)により奇跡的な回復 (*レナードの朝)

・私たちが何かを快と感じるとき、
   * ほとんど全ての場合に内側前脳快感回路に関連する報酬系の神経調整器が働いている
   * 快感回路が単独で活動しても、色合いみ深みもない無味乾燥な快感が生じるだけ

第2章  やめられない薬

・向精神薬はさまざまな社会的文脈で使われる。
  *312年の調査によるとローマ市内にアヘンを扱う店が793店あった。
  *19世紀のアイルランドでエーテル中毒が蔓延
  *ペルーのアヤワスカ
  *処方薬パーティー       

・依存症とは
「生活上の悪い影響が大きくなっているにもかかわらず持続的、脅迫的に薬物を使用すること」

・依存性薬物を繰り返し摂取すると内側前脳快感回路とその標的の機能に永続的な変換が生じ、
その変化がもととなって、耐性や離脱症状、渇望、再発が生じる。

第5章  ギャンブル依存症

・ギャンブルは食べ物、水、セックスとは異なり本来的に適応的な刺激ではない
   任意の報酬から快感を得る能力はいつ、どの段階で発達したのだろうか。
   人間はどんなものでも報酬にできるのだろうか。

第6章  悪徳ばかりが快感ではない

・ランナーズハイ、神秘体験、瞑想状態、慈善活動、社会的評価

・強制課金であれ匿名寄付であれ、与えること自体が快感だとしたら「純粋な愛他主義」というものは実は存在しないのではないだろうか。

・経験により快感回路を長期的に変化させる能力のおかげで、人間はさまざまなものを自由に報酬と感じることができ、抽象概念さえも快いものにできる。

・しかし、その同じプロセスが、快感を依存症へと変化させてしまう。

第7章  快感の未来

・カーツワイルの予測は脳への理解が、指数関数的に深まることを前提にしたもので、現実的ではない

・近い将来に実現しそうなのは
   *  個人個人の依存症リスクを予測する遺伝子スクリーニング  
      例 有罪判決を受けた小児性愛者の治療

・遠い未来の快感を思い描く時未来のテクノロジーよりもテクノロジーをとりまく社会的、法的、経済的システムがいったいどうなるのか。
 アルコール、ニコチン、ヘロイン、コカインは政府により合法化され、禁止され、課税され、規制されてきた。

感想

「あらゆる快感が依存症のリスクなしに味わえるとしたら、それでも私たちは節制を美徳とみなすだろうか。」依存症のリスクなしに直接快感回路に働きかける電気信号とか、近い将来でてきてもおかしくない。美徳と思われる行為も快感回路を刺激しているのであれば、人の迷惑にならない範囲での快楽依存症に後ろめたさを感じなくてもいいのかもしれない。等々様々な思索のフックになる名著です。

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