「日本の治安は悪化した」は完全な誤りである “体感”治安悪化の仕組みと対策

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安全神話崩壊のパラドックス―治安の法社会学

・安全の喪失ではなく安心感の喪失
犯罪数(凶悪事件)の減少
危険地域の非危険化
→ではなぜ安心感は失われたのか?
境界及びその基盤となる共同体の変質に原因があるとする

・日本人の犯罪観
犯罪は別世界のことと考えているからこそ実際に犯罪が起きると厳罰化を望む上、「安全神話」が揺らぐといった不安感が生じる。逆に、刑事司法関係者は、そもそも犯罪を非日常と考えておらず、安全神話などあるとは思っていないし、刑罰を軽減しようと考えている。
一般人は防犯意識が薄く、日常において犯罪が起こるということをそもそも未想定

・警戒心と安心感
防犯意識が薄い=自分の身の回りに犯罪者・悪人はいないと感じている
よく知らない人に対する方法
 日本→飲みであり、緊張感を解き、本音を探る
 欧米→緊張感を解かず、契約で拘束する

■安全神話(安心感)の構造

(1)謝罪と赦し
日本:一審での有罪率は99.9%、被告人は事実関係を認めて情状酌量を狙う
自供:事実を認めるだけでなく謝罪をさせ、赦すのが伝統的
→一般人にとって最近まで不知

・身元引受人
触法少年の親、仮釈放の場合にも身元引受人が重要
監督者によって軽微な件では処分されない等
保護司制度
→自身での立直りを想定せず、監督者が世話することが重視(防犯・更正面)

・非公式で濃密な関係
拘束中の犯罪者と刑事・検察等の関係の濃密さ
人間関係の構築を重要視(生い立ちを聞く等)
フォーマル→欧米式、インフォーマル→日本式である

・同質共同体の内と外の二分法
境界を設け、外にいる者に対する排外意識がある
外側に統制側(現在でいう警察等)もいる。一般住民だけ内側

・共同体は職業の業界毎。よって、物理的な隔たりがなく犯罪者は再統合されるが、非日常的世界に隔離される

・隔離される被差別集団
前科者→再犯、刑務所へ戻る
長期受刑者も含めると高確率であり、復帰可能性のない者の選りすぐり。出所者の行き先は家族が多いが、仕事をする必要性

刑事等の斡旋や保護司が雇う等
工業関係者は伝統的に地域住民と密接な関係がない
名士は支配者層に近い
会社員や農民の共同体からは隔離されている
刑務代わりの海上運送、鉱山労働等→隔離
世話人のいない者→やくざが受け皿

・被差別部落と在日

・差別撤廃→危険人物の隔離がなくなる(不安の要因)

(2)個別主義と人権

・日本の刑事司法への批判
法の運用と日本的システムの乖離

・欧米の実態→死刑廃止国での犯罪現場での射殺率等(正当防衛理論等)

・犯罪者の人権
日本は犯罪者の人権を認めない 非人という呼称、オウム真理教の住民票事件等

・手加減する文化
欧米→報復されないために相手を殲滅
日本→長期的関係を考慮

・現場の鬼=現場裁量者(刑事司法にもいる)
一対一の深い関係
誰がどのような得意分野をもっているかを小集団であれば把握可能
町内会の防犯協会機能→犯罪者居住区がない

・普遍性の要請
事件の個別斟酌は普遍性の要請と矛盾しない
普遍性要求からの批判→一般人に知らされない内密性。他の事件との整合性があるかどうかではなく、個別判断の妥当性があると当事者が納得すればよく、非公表。警察悪事の横行などと相俟って批判対象。

■あるべき将来像と処方箋

(1)人間関係の変容と防犯

(2)境界・共同体と個人

・境界の必要性

犯罪にかかわる人と無縁の人の区別=安全神話の構造
繁華街と住宅街、夜と昼、大人と子供

法的には自由を強調する流れ
→日本の伝統的防犯システムでは早期に介入し更生を図る

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