「都知事閣下と東京都民各位のために、もらっといてやる」が印象深い、田中慎弥の芥川賞受賞作「共喰い」の書評・感想

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共喰い

父とその愛人と暮らしている主人公、遠馬。

産みの母親も近くに暮らしており、今も遠馬と交流はある。

遠馬はセックスの際に女性に暴力を振るう父親のことを、一歩引いた場所から見つつ、自分もいつか父親と同じように、女性に暴力をふるってしまうのではないか、ということに怯えている。

遠馬には恋人がいるのだが、その恋人に暴力をふるってしまうのではないかと怖れる遠馬。

そして、ある日、父親が……、その恋人が……、そのとき、本当の母親の下した決断は……、という話です。
父親の血が自分の中にも流れている、といった苦悩を描いた物語です。

雨の降る中のクライマックスシーンは、緊張感がびしびしと伝わってきます。一読の価値あり。

方言小説(?)といった風で、なまりがきついです。たまに、意味がよくわからないこともありますが、巷に溢れる関西弁小説もにたようなもんだと思えば、特に苦はありません。

感想

現代小説、というよりも、昔ながらの純文学、といった感じがしました。血の呪いというか、逃れられない血脈を描いた、テーマがとても分かりやすい作品だと思いました。

筆者はパソコンを使わず、鉛筆で紙に書くスタイルを貫いているようです。素晴らしい姿勢ですね。

共喰い

共喰い

  • 田中慎弥

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