「森 博嗣」の突き刺さる名文9選

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すベてがFになる (講談社文庫)

 真額田四季、犀川創平、西之園萌絵という3人の天才が織り成す、スピード感ある話で、天才だからこそ普通の人の当たり前を通り越してしまう感じが、かなり納得できる作品。 そんな名作から、お気に入りの名文を、9個ピックアップしました。
 

心に突き刺さる名文9選

  • 自分の本心を決して口にしないことが、生きていく道なのだ、ということも本能的にではあるが、少しずつわかってきた。調子の悪い車を騙し騙し走らせるようなものだ。目的地に着きさえすれば、それで良い。

  • 「先生……、現実って何でしょう?」萌絵は小さな顔を少し傾けて言った。「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」犀川はすぐ答えた。「普段はそんなものは存在しない」
 

  • 「自然を見て美しいなと思うこと自体が、不自然なんだよね。汚れた生活をしている証拠だ。窓のないところで、自然を遮断して生きていけるというのは、それだけ、自分の中に美しいものがあるということだろう?つまらない仕事や汚れた生活をしているから、自然、自然ってご褒美みたいなものが欲しくなるんだ」
 

  • 「僕ら研究者は、何も生産していない、無責任さだけが取り柄だからね。でも、百年、二百年さきのことを考えられるのは、僕らだけなんだよ」
 

  • 「思い出と記憶って、どこが違うか知っている?」犀川は煙草を消しながら言った。 「思い出は良いことばかり、記憶は嫌なことばかりだわ」 「そんなことはないよ。嫌な思い出も、楽しい記憶もある」 「じゃあ、何です?」 「思い出は全部記憶しているけどね、記憶は全部は思い出せないんだ」
 

  • 「病気なのです。生きていることは、それ自体が、病気なのです。病気が治ったときに、生命も消えるのです。そう、たとえばね、先生。眠りたいって思うでしょう?眠ることの心地良さって不思議です。何故、私たちの意識は、意識を失うことを望むのでしょう?意識がなくなることが、正常だからではないですか?眠っているのを起こされるのって不快ではありませんか?覚醒は本能的に不快なものです。誕生だって同じこと……。生まれてくる赤ちゃんって、だから、みんな泣いているのですね。生まれたくなかったって……」
 

  • 「自分の人生を他人に干渉してもらいたい、それが、愛されたい、という言葉の意味ではありませんか? 犀川先生……。自分の意志で生まれてくる生命はありません。他人の干渉によって死ぬというのは、自分の意志でなく生まれたものの、本能的な欲求ではないでしょうか?」
 

  • 失いたくないために、幾重にも塗り重ねたペンキ。そして、ついには、何に色を塗っていたのか忘れてしまったのだ。忘れることで、防御したのかもしれない。自分にはわからない。きっと、自分だけには、わからないようにしたのだ。
 

  • 「日本では、一緒に遊ぶとき、混ぜてくれって言いますよね。混ぜるという動詞は、英語ではミックスです。これは、もともと液体を一緒にする時の言葉です。外国、特に欧米では、人間は、仲間に入れてほしいとき、ジョインするんです。混ざるのではなくて、つながるだけ…。つまり、日本は、液体の社会で、欧米は固体の社会なんですよ。日本人って、個人がリキッドなのです。流動的で、渾然一体になりたいという欲求を社会本能的に持っている。欧米では、個人はソリッドだから、けっして混ざりません。」
  • 感想

    「森 博嗣」の作品は、認識やリアリティを、読み手に問いかけるの所と、学問への愛情が素晴らしい所だと思っています。また、本人が天才なだけあって、天才の描写がうまいと思います。

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