きみまち坂の秋田県二ツ井町「きみまち恋文全国コンテスト」の応募作の紹介

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日本一心のこもった恋文

概要

きみまち坂の秋田県二ツ井町「きみまち恋文全国コンテスト」の応募作の紹介。中学生から、亡くなった方の遺品の恋文まで様々。応募作のうち、ひとつをご紹介します。

『万葉集』の君へ

心、千々に乱れ、何から書き始めたものか、とまどいつつペンをとりました。おぼえてらっしゃいますね。今から50年前、学窓から明日戦場へと赴く私に万葉集一巻を贈ってくださいましたね。
  君が行く 道の長程 繰りたたね 焼きほろぼさむ 天の火もがも
  君が行く 海辺の宿に 霧立たば 吾が立ち嘆く 息と知りませ
「武運の長久をお祈りいたしております」
と巻末に認められた献辞より、主戦のひあれたこれらの歌が私の心を深く強く揺さぶりました。
  天さかる 鄙にも月は 照れれども 妹ぞ遠くは 別れ来にける
  窓越しに 月おし照りて 足引の あらし吹く夜は 君をしぞ思ふ
 戦後、酷寒のシベリアでのつらい抑留生活を支えてくれたのは、あなたからいただいた、ボロボロになった万葉集でした。
 復員して自宅より真っ先にあなたのおうちを訪ねましたが、焼き落ちた後に立てられた粗末なバラックには見知らぬ人が住んでいて、あなたの消息を知ることはできませんでした。
 あれから半世紀。しかし今はほんとに生きていてよかった。長い間さがしてもどうしてもわからなかった、あなたの、お孫さんと、私の孫娘が同じ大学、しかも「万葉旅の会」に入って親しくつきあっていると知った時の驚きと喜び、奇しき因縁に結ばれた仲だったのですね。
 お互いに、還暦もとうに過ぎてしまった二人ですが、爽涼ともいえる秋の日の一日、思い出の万葉集を携えて甘橿の丘に登り、大和国原を眺めながら、往きて還らぬ青春の日々を偲んでみませんか。お返事、心からお待ちしております。
 恋ひ死なむ 後は何せむ 生ける日の 為こそ妹を 見まく欲りすれ
 敷島の 日本の国は 人二人 ありおし思はば 何かなげかむ

感想

前書きにある審査員のコメントとほぼ同じような感想。他人のラブレターなんて、中二病のような黒歴史というか読んでいられない恥ずかしさがあるのではないかと思っていたけど、やられた。思った以上に感動させられた。

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