森博嗣が考える小説を書くコツと、小説の将来展望

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小説家という職業 (集英社新書)

 森博嗣の「小説論」。論理思考で、小説執筆をビジネスとして、成功するための考え方を述べた本を書いているけど、そのネタは、「森博嗣が考える小説を書くコツと、小説の将来展望」で、その事からクリエイティブについて学べる事ができると思う。
 

小説を書くときのコツ

オリジナリティについて

  • とにかく自分の目で見ること。そして、自分の見たものを、自分の頭で考える(処理する)こと。創作の独創性とはこれに尽きる。他者の目が見た録画を見せられるのではなく、また、他者の頭が考えた言葉を鵜呑みにするのでもない。社会の常識に囚われてはいけない。そういった間接的な情報はすべて疑ってかかり、自分の理屈で処理をし直す。こういった姿勢がオリジナリティを生み出すのだが、自然にこれができるかどうかは、その人間が育った環境によるだろう。

リアリティのある会話をさせるには

  • 実際の会話というのは、一つの話題のときも、それぞれは別々のことを考えている。人間は常に勝手に考えるという特性を持っているのだ。それを素直に表現するだけで、自然にキャラクタの個性が滲み出る。読み手に「生きている」と感じさせることができるだろう。もちろん、会話だけではない。考えているからこそ、それが行動や仕草に出る。関係のないことを突然したり、勘違いをしたり、忘れたり、失敗したりする。普通の人が当然するこれらの無関係で無駄な行為が、生きている証拠でもある。

森博嗣流素材の探し方

  • 貶す言葉は、ボクサでいえばパンチを繰り出すためにガードが下がった状態、つまり自己をさらけ出す瞬間に似ている。それを発する本人の人間性が一番よく見えるし、僕はそこに興味がある。どんな人間が世の中にいるのか、ということが、小説を書くうえでは最も重要な素材となるのだ。

森博嗣の考える今後の小説の見通し

小説の行く末

  • たぶん、小説は今以上に廃れることはないだろう。このどん底のマイナのまま、確実に将来にわたって存続するものと思われる。かつてのような大量消費の再来はありえない。何百万部も売れる作品はまず現れない。もちろん、大金をかけて一大プロジェクトを打ち、あらゆる手を尽くしてプロモートすれば、あるいは奇跡的に100万部くらい売れるかもしれないけれど、それだけの宣伝費をペイできるかどうかぎりぎりの線だろう(ただし、印税をもらえるので作家は大儲けできる。こういった場合はなんらかの取引が事前にあるかもしれないが)。

図書館や古書店対策

  • 森博嗣は、図書館や古書店の問題には、「何度も読みたくなるような作品」で対抗するしかない、と考えた。作品の随所に、簡単には読み解けないものを織り交ぜておく。その作品ではなく、別の作品でそのヒントを見せる。ネットで、こういった部分が話題になれば、「もう一度読みたい」と思う人が増えるだろう。再読するためには、本を手許に置いておかねばならない。「いつかもう一度読んでみよう」と思わせるような作品とは、初読時にはすっかり消化ができないようなものだ。そういう理屈になる。

作家のポジション

  • 仕事というのは、苦労や労働に見合った報酬を得る行為である。自分ではやりたくないから金を払って人に依頼する。ビジネスはこうして成り立っている。作家がビジネスとして成立するには、なんらかの苦労を背負う必要がある。理想的な生活、みんなの憧れの地位で、しかもお金が稼げるといった上手い話はありえない。極論すれば、嫌われることで対価を得る、というくらいの覚悟が必要だろう。

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