エンデが問題提起するお金の本「エンデの遺言」

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エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)

はじめに

「モモ」で時間について論じたエンデは、「時間とともに加算される利子」の問題点を指摘しました。

エンデ本人のインタビューなどから、「お金」とは何かを問い直します。

エンデの問題提起

・現在、世界で動く外国為替金額の98%が投機目的であり、財とサービスの取引は2%である。

・財やサービスの対価ではなく、商品としてのお金のやりとりが大勢を占めている。
←「お金ってそもそもそういうものだったっけ」という問題提起

・日本経済の問題点は、貯蓄率が高く、お金の流れが悪いところ。
←「お金も食べ物と同じように徐々に価値が下がるようにすれば、貯金は損することになり、お金の流れがよくなる」という指摘

お金とは

そもそも貨幣制度は、

1、物々交換の非効率を解消するための手段「交換の媒体」

2、異なるジャンルのものの価値を比較する「価値の尺度」

3、資本の価値をとっておく「価値の保存」

の3つの目的で発達しました。

しかし

4、持っておくだけで利子を生む

という機能のせいで、お金の流れが悪くなっている。とエンデは指摘します。

お金のあるべき姿

エンデは今日ある問題の原因に対し、お金の「持っているだけでいいことがある(利子)」という機能を弱める解決策を提示します。

1、徐々に価値が下がっていく貨幣の導入

・年初に100の価値があり、年末には95に減る仕組みを持つ貨幣。

・持っているだけだと損をするので、消費が喚起される。

2、地域通貨の導入

・ある特定の地域だけで使えるお金をつくる。

・地域貨幣は貯金ができず持っているだけでは利子がつかないので、消費に回る。

・普通の貨幣を借りる場合は利子がつくけれど、地域通貨を借りても利子はつかないので、商売する側も借りやすい。

・普通の貨幣と異なり、特定地域内でお金が回るので、地域の活性化に役立つ。

エンデの箴言

エンデはお金について、次のような言葉を遺しています。

・自然界に存在せず、純粋に人間によってつくられたものがこの世にあるとすれば、それはお金なのです。

・人々はお金を変えられないと考えていますが、そうではありません。お金は変えられます。人間がつくったのですから。

感想

・エンデの1つめの提言である「徐々に価値が下がる貨幣」は、現在のインフレターゲット論につながると思います。

・2つめの提言である「地域通貨」は、日本で600例以上の導入例があり、今後ますます拡大していくと考えられます。「グローカル化」という考え方と近いのでしょうか。

・あるのがあたり前だと思っていた「利子」の存在を疑って見ることで、新たな視点を得ることができました。

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