玉子ふわふわの名言・概要・感想

2002viewsAnzuAnzu

このエントリーをはてなブックマークに追加
玉子ふわふわ (ちくま文庫)

概要

たまごの小咄、旅の思い出、とびきりのたまご料理を出す店、一緒に食べたひと…。森茉莉、石井好子、北大路魯山人など、37人の作家による、たまごについての贅沢なアンソロジー。

本文より一部抜粋

・私は、食卓の上に運んできた、周りが紅みのある卵の殻に少しローズ色のはいった色をした厚みのある西洋皿にのった目玉焼きに向うと、どんな用事が突発しても、醤油をひっくりかえしたとか、電話のほかは無視して、熱い内に卵を口に入れるという義務を果すことにしている。…森茉莉『卵料理』

・卵といえば、こんなはなしが残っている。かの〔忠臣蔵〕で有名な大石内蔵助も、討ち入りの夜の腹ごしらえに、生卵を熱い飯にかけて食べているのだ。…池波正太郎『卵のスケッチ』

・温泉玉子にいろいろの味をつけたくなるのは、玉子が純粋でムクだから、こちらは生娘を一人前の芸者に仕立てるような欲が出てくる。…嵐山光三郎『温泉玉子の冒険』

・ヒッチコックの映画の一シーンに、登場人物が、朝食のテーブルから立つときに、ちょっとした芝居を演じるところがある。ごくさりげなく演じてのけるのだが、観た方にはこたえる。初老の婦人、だと思ったが、彼女は吸いかけの巻煙草を、手つかずのままの目玉焼きの黄身のまんなかに、ジュっと突き立て、ぐっとひとひねりして、やおら立ち上るのである。…神吉拓郎『地玉子有ります(「ます」は記号)』

・へこんでしまうことは、思いのほかたくさんあるのです。そんなとき、僕は台所に行きます。冷蔵庫から取り出すのは、たまご。(中略)落ち込んだとき、僕はもくもくと、たまご焼きをつくるのです。…松浦弥太郎『落ち込んだときは』

感想

「たまご」という素朴な食材を中心に据えているせいか、どの作家の作品からも、口元が自然と緩んでしまうような温かさや、とぼけた味が感じられます。読み終えたあとは、とろとろ半熟のオムレツが食べたくなりました。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く