「鴨川ホルモー」とほぼ同じ時間軸で巻き起こった各エピソード「ホルモー六景」の書評・感想

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ホルモー六景 (角川文庫)

「鴨川ホルモー」とほぼ同じ時間軸で巻き起こった各エピソード。各エピソードが「恋愛」をテーマとした話であるため、「鴨川ホルモー」とは違った味わい。

目次

プロローグ

●第一景 鴨川(小)ホルモー
器用な恋愛ができない「二人静」こと彰子と定子。
彰子は持ち前のオヤジ気質が、定子はハードルの高さが問題で彼氏が作れずにいた。
あらゆる記念日を二人で過ごすことに決めた二人だったが、定子がデートに誘われた事から事態は急転する。

●第ニ景 ローマ風の休日
女の子なのに、大木凡人のような髪型とメガネの通称、凡ちゃん。
口下手な彼女に気をかけるアルバイト先の少年。
凡ちゃんの行動を変えるきっかけとなったエピソード。

●第三景 もっちゃん
安倍の友人、もっちゃんが恋をした。
一目惚れをした彼女に恋文(ラブレター)を書くこととなる。

●第四景 同志社大学黄龍陣
同志社大学に通う巴は、ひょんなことから古い手紙で「ホルモー」という言葉を知り、その答えを求めて行動に移す。
途中、元カレのダメっぷりに翻弄されながらもナンヤカンヤなストーリー。

●第五景 丸の内サミット
大学時代、互いにホルモーで競い合っていた男女が東京で偶然の再会を果たす。
大学時代には気付かなかった互いの魅力に触れ、二人は戸惑いながらも意識してしまう。

●第六景 長持の恋
珠実は不思議な力の影響により、アルバイト先で見つけた長持で戦国時代の青年、なべ丸と文通をすることになった。
時代は異なれど、同世代の自分と変わらないようななべ丸に、珠実は好感を持つ。
しかし、なべ丸の素性を知った時、珠実は驚愕の事実に立ち尽くす。
なべ丸の約束の果たし方に涙が滲む傑作。

メモ

その様子に、自然と笑いがこみ上げてきた。信号が青に変わり、「よいしょ」と掛け声とともに、ペダルに力を込めた。

薄い雲が棚引く五月の天高くを、大きな鷹が羽を広げ、風に乗って舞っていた。

なに勝手に「何でも相談できる相手」にカテゴライズしてくれてんのよ。

「京極ホルモー」の終結より三年と半年の歳月を経て、両雄は東京丸の内に屹立する新丸ビル五階、合コンの席上にて再会したのである。

その勇猛なアタッキングは、戦国の世、毘沙門天の旗をなびかせ、戦場を駆け抜けた越後の竜を髣髴(ほうふつ)とさせた。
その重厚な布陣は、「風林火山」の旗を睥睨(へいげい)した甲斐の虎を想起させた。

ともに都大路の生ける伝説と評しても過言ではない二人が、東京駅前のとあるイタリアンダイニングにて、テーブルを挟んで座っている。
当時を知る者にとっては、号外が空を舞ってもおかしくない歴史的シーンである。

大学時代、言葉を交わす機会があっても、とにかく落ち着いたその佇まいに、康はまるでこちらの考えをすべて見透かされているような、居心地の悪さを感じていた。とっつきにくい、硬質な感触に、康は常に圧迫感を覚えた。
なるほど、ずいぶん流行に後れをとったが、今ならそれもわかる康だった。
「人とはいかに組織のフィルターを通してでしか、個人を捉えられない生き物なのだろう」

感想

前提として、「鴨川ホルモー」を読んでおくことは必須。
だがしかし、前作と同じ楽しみを期待している人は面食らう。
一見奇妙な世界観を維持しながらも、全うなラブストーリーが展開される。

「長持の恋」は「今、会いにゆきます」よりはるかに面白いストーリーだと思う。

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