統計詐欺を見極める考え方。「考える技術としての統計学」

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考える技術としての統計学―生活・ビジネス・投資に生かす (NHKブックス)

日々の情報は数字で溢れている。株価、為替レート、内閣支持率、果ては野球の打率。
高度に情報化された社会ではデータの処理技術が必須であり、その伝統的なものとして統計があり、私たちはそれにだまされないようにしなければならないと、著者は述べる。

統計詐欺

統計でパーセンテージやグラフを見せられると、何も考えずについその情報を鵜呑みにしてしまうことが多いかもしれない。しかしそこには落とし穴があり、統計にだまされてしまう可能性をも大いにはらんでいる。著者はそういった「統計詐欺」の類型として以下の3つをあげている。
・見せ方の嘘
縮尺を替えてしまったり(グラフで一部分の推移だけをピックアップしたり単位をごまかしたり)して、調査者の都合のいい部分だけを「見せている」、といったことがある。
・データ選択の嘘
しばしば何かの数値をわかりやすく説明するために具体的な他の例の数値で比較することがある。例えば飛行機事故での死亡率を解りやすくするために、自動車事故での死亡率と比べることがそうである。年間死亡率では自動車の方が死亡率は高いが、1億回利用あたりの死亡率をみてみると、飛行機の方が死亡率が高いそうだ。1億回も飛行機を利用することはないだろうが、データの選択によって算出される数値も変わってくるということである。
・データ収集の嘘
こちらは調査母体によって結果としての数値が変わるケース。例えば「あなたは美容に月いくらかけていますか?」という質問をエステサロンの入り口で行ったりすれば、それは当然全国の平均的女性よりもはるかに高額な数値がでてしまう、といったようにデータを収集する母体によってその結果としての数値も偏ったものになってしまうということである。

「ふつう」と「ふつうじゃない」を見極める

統計には大きく2種類ある。

・上記のようにデータ特性を観察し、まとめ、物事の一般的な傾向を正しく把握するための統計=「記述統計」
・データの一部を扱っても、全体を知ることができないため、データからわかることと事象の真実の姿がどれほどの確率で適合するかということを知るための統計=「推測統計」

この二つの統計は目的も手法も異なるが、統計として共通しているのが「ふつう」と「ふつうじゃない」を区別し発見する、という機能である。「ふつう」と「ふつうじゃない」ことを区別することは、意思決定の危険性の把握、新しいキーファクターを探す糸口になると著者は述べる。大目標を小目標に落とし込んでいくトップダウン思考においても、目標達成のサポートとして必要な行動を探るために統計による「ふつう」と「ふつうじゃない」の区別は極めて有用なのである。
そして著者は統計がもたらす大きな寄与を3つあげている。
統計とは
・主観的な思い込みを抑制する解毒剤
・リスクと成果のバランスを明確にするもの
・合理的な意思決定を導く基礎資料
である。

感想

普段学校の授業では学科の関係上からも統計を扱うことはほとんどなく、自分としては未知の領域だった。しかしこの本を手に取って読んでみると、統計のいろいろがわかりやすく頭に入ってきた。統計の概要を説明すると同時に、経済の動きについてもわかりやすく触れられているので、株価って何だ?TOPIXって何だ?総資産と純資産は具体的にどう違うの?といった基礎的な疑問も解消される。経済の動きを統計の見方とともに学べ、かつ言葉もわかりやすいので、そういったことの知識がなく、かつちょっと足を踏み入れたい、という人であればぜひ一読をおすすめしたい本だと感じた。
ただし、あまり専門的なところまでは掘り下げられていないと思うので、広く浅く、ひとつのきっかけとして最適だと思う。

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