自ら決死隊となった島津豊久?ドリフターズ 1の書評・感想

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ドリフターズ 1 (ヤングキングコミックス)

 関が原の戦いで君主である叔父島津義弘を逃がすため、自ら決死隊となった島津豊久

 獅子奮迅の働きで大将首をとった後 決死の覚悟で敵軍に突撃―――その命を戦場に散らした

 享年30歳 

 ように見えたが…

概略

豊久が気がつくと 長い廊下に 一人の男が机で事務作業をしていた
男は手元の書類にサインを走らせると、豊久は扉の中に飲み込まれる

その先は日本とは全然違う中世風の建物が存在する場所
エルフが人間の建てた一国「オルテ」に支配される世界だった

家畜のように扱われ 逆らえば見せしめとして簡単に殺されるエルフ達
そんな主従関係のハッキリした土地に突然迷い込んだ豊久

彼を見つけたエルフたちは そんな「彼ら」を漂流者(ドリフターズ)と呼んでいた

そう 迷い込んだのは豊久だけではなかった

18年前に本能寺で死亡した織田信長と
約400年前に活躍した那須与一もまた「漂流」していたのだ

魔王の真骨頂

本作で特筆すべきは 主人公 島津豊久のありえない戦闘力と魂が震える台詞

ですが 注目すべきは信長の描写です

「オッス オラ第六天魔王」と気の抜けた絵で軽いあいさつをするようなキャラですが
その中身は風雲児そのもの

例えばエルフを虐殺に来るオルテたちと戦うため 信長は村に火をかけて敵を殲滅させる事を提案

自衛の策略として背水の陣をしかせると共に 戦意のないエルフ達を無理やり戦いに駆り立てます

この時 信長は言います

「食料も尊厳も無くなると 人はもはやどうでもよくなる 何にでも頼る 散々おれが一向一揆にヤられた手じゃもの 国をかっぱらうには一番の手よ」(要約)
 

良い所はすぐ取り入れる
人の心は理解できないが人の扱いだけは異様にうまい

そんな信長の能力をココまで分かりやすく描き切った作品を私は知りません

歴史上 絶対に絡む事の無いチームによる国取り

信長は 人間に隷属し戦闘経験も戦意も殆ど無くただ死にたくないから従うエルフ達を

「尾張の兵は弱かった」「だからどう戦うかを考えた」

と弱兵を的確に指揮し 能力的に優れた敵兵を倒していきます

そしてそのエルフ達を先駆けるのは特攻隊長 鬼島津

圧倒的な能力を持ちながら 帰趨の定まった時代に生まれ死んだ彼と
乱世に生まれ 革新的な頭脳で小国を大国に発展させた信長が共闘し
裸一貫の状態で国取りをはじめるという展開は 見ていて興奮すること請け合いです

これにハンニバルやワイルドバンチ強盗団等の場所も時代も超越したキャラが登場
さらに敵対勢力側にも歴史上の偉人が登場

カオスな戦いを予感させます

誰も見た事の無い組み合わせによる 壮大な異世界歴史IF物語

本作はそんな 前代未聞の挑戦をした作品です

面白い漫画が読みたい方は是非この本をお読みください 

歴史に詳しい人もそうでない人も 様々な漫画を読んだ人でも読んでない人でも 平等に楽しめる内容となっています

なぜなら本作が描くのは 

誰もが知る人物で 
誰も知らない話を紡ぐ 

全くの未知のお話なのです

知らない物語を読むというシンプルな興奮を是非!

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