信託って何?というところから、改正信託法の内容についてを解説。

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信託法入門 (日経文庫)

■制度の沿革

・英米
ファミリー信託(封建領土の事実上の相続)
→金融的なものにまで発展

・日本
担保附社債信託法
英国法をモデルとしながらも、硬直的で金融には向かない→2006年改正
信託業法の改正:業者の拡大や信託財産の制限の撤廃
信託法の改正

■信託の設定

・受益者 
委託者と同じ=自益信託
委託者と別=他益信託
受益者の定めなし=公益信託など

信託法3条1号~3号
(1)信託契約による方法
(2)遺言による方法(遺言信託)
(3)信託宣言による方法

■信託の目的と有効性

(1)信託目的
信託は一定の目的(信託目的)を要する(法2条1項)
ここでいう目的は一般的なものではなく、受託者の管理処分の基準となるべき
ものである。受託者の管理運用方法、受益者への利益還元方法など。

(2)目的の多様性と限界

目的の定め方は原則自由であるが、下記のような制限がある
①専ら受益者の利益を図るため
②公序良俗違反の無効

③脱法信託の禁止

④訴訟信託の禁止

(3)詐害信託の禁止

〇倒産法との関係
法11条詐害行為の取り消し
法12条詐害行為の否認

■信託設定後の委託者の地位

(1)委託者の権利

受益者と委託者が異なる場合に受益者の利益が不安定となることや、
委託者は英米法では法律関係から離脱すると考えられていることなどから
いくつか改正された

①旧法の権利の縮小
②信託行為による制限を認める
③信託行為による委託者への授権も認める

(2)承継

・委託者の地位は相続対象となる
但し遺言信託の場合はならない(法147条)

・信託行為で定めた方法による承継(法146条1項)
受託者、受益者の同意

■信託財産

(1)当初受託財産と信託財産の管理・処分等

当初受託財産:信託を設定する際の最初の信託財産

①信託業法による業者の当初受託財産の制限の撤廃(2004)

②セキュリティ・トラスト(担保付信託)

(2)独立性

〇受託者との関係

①債権者の差し押さえ制限
但し信託財産責任負担債務による場合は除く

②自己信託の場合
→詐害信託の場合は取り消しせず差し押さえできる(法23条2項)

③破産
倒産隔離機能

〇委託者との関係

(3)第三者への対抗

・登記・登録を要する財産の場合は法14条により登記等が対抗要件

・登記・登録が不要な財産

・登記・登録が必要な財産

登記:不動産など
登録:著作権、特許権など

(4)相殺

①第三者による相殺
原則規定は法22条1項

②受託者の保護のための相殺禁止

③受託者による相殺

④利益相反行為の禁止の例外

■受託者による取引のメカニズム

■受託者の義務と責任

(1)善管注意義務
自己執行しない場合

(2)公平義務・分別管理義務・報告義務・帳簿作成義務

(3)忠実義務

(4)損失補填責任

■受益者の地位

(1)確定的か、未確定か

(2)受益権の内容 
信託行為による。信託財産をもって履行される。

(3)受益権者集会・監督機能

(4)信託管理人等

■様々な変更

(1)受託者の変更

(2)信託の変更

■信託の終了

破産や死亡など

感想

文庫本ではあるが意外と内容は濃く、入門書としては専門書に近い。
逆に言えば、全く法律書に馴染みのない人にとっては若干難しめかもしれない。

先般の改正では、日本の金融事情の変化が大きな原因となっているが、その点については触れられていない。その点については、大塚英明ほか『商法総則・商行為法(第2版)』(有斐閣アルマ)の第6編が参考になる。

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