福島原発事故から考える。「節電社会のつくり方 スマートパワーが日本を救う! 」

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節電社会のつくり方 スマートパワーが日本を救う! (角川oneテーマ21)

今夏、電力需要量が可能供給量を上回る可能性が非常に高い。6月下旬の時点で、電力需用量はすでに供給量の9割にまで及んでいる。少なくとも東電管内の国民は他人事と扱わず、一人一人が危機感をもって節電に望んでいかなければならない。

現状

現状の危機的な電力不足を乗り越えるには官民一体の取り組みをすぐに始めなければならない。もし今夏も計画停電をするということになれば、春に起こったようなバリアフリーの阻害は絶対に防がなければならないなど課題は多い。夏を乗り切れても次には冬があり、長期的な設計図のデザインが必要だ。
現在の電力供給網における大きな課題のひとつに、「エネルギーロス」 という問題がある。電気は発電、送電、直流から交流への切り替えそれぞれの段階で少しずつ失われ、最終的に発電用に使われたエネルギーの64%が使わずに捨てられてしまう。これは見直すために「コジェネ」、「分散型電源」の導入、エネルギーネットワーク再構築が必要だ。コジェネは一つの燃料から複数のエネルギー(電気と熱など)を同時に取り出すシステム。普通ならば廃熱として無駄になる熱をそのまま給湯器等の熱に流用することができる。さらにコジェネの発電機を需要のある場所に設置することで送電ロスは減る。太陽光、風力など出力が安定しないエネルギーはすぐ消費するよりも、いったん貯めて、必要なときにとりだしたほうが効率がよいため蓄電も重要だ。コジェネ、蓄電を組み合わせることで、分散型電源を普及させれば、エネルギーロスはかなり減らすことができる。

エネルギーの効率化を!

このような現状から脱し、節電をしやすい社会にするために、料金を自由化し節電行動が反映されるような料金体系をつくりあげること、企業が自社発電した電気を電力会社や電力を小売りする事業者に卸売る電力卸売市場、などのアイデアをあげている。それらを現実的なものにするのに、「スマートグリッド」が有用だ。スマー トグリッドは厳密に定義されている概念ではないが、「双方向の通信・制御」、「分散型データ処理とセンサーを用いる電力ネットワーク」を利用したテクノロジーの総称である。スマートグリッドのもとでは、自然エネルギーを利用した電源が「分散」して連携する。その分散と、供給者と利用者を結ぶネットワークによって、需要応答–供給者と需要者のニーズを共に満たす電力網構築が可能だ。そうなれば災害時や停電時などの対応も柔軟にできるようになる。
これからのエネルギー政策の軸は前述したような「エネルギー利用効率をあげること」である。そのためには現状の安定した発電網、自然エネルギーやコジェネを利用した分散型電力網、そしてグリッドの3つの組み合わせが有効である。

これからのエネルギー社会

著者は「スマート国民総発電所」という、エネルギーウェブ(電気製品をむすぶネットワーク)やスマートメーターなどのコンポーネント、要するにスマートグリッドを駆使することで国民一人一人が発電所になり国全体がひとつの発電所となるといった構想をかかげる。スマートグリッドに様々な恩恵をもたらすが、そのなかでも誰もがエネルギー作りに参加できるという「YouEnergy」 (YouTubeをもじったもの)の構想が可能になったということが大きい。分散型エネルギーをネットワークで相互接続することで、 誰もがエネルギーを作り、供給できる環境が生まれる。電力供給者と利用者の関係が変化するのだ。アルビン・トフラーの言ったProducer+Consumer="Prosumer"の誕生である。スマートグリッドは産業構造に変化をもたらす。現状の垂直統合型電力網から、水平分業型への移行をうながし、需給関係は自由競争化する。自由競争化により、創エネアドバイスや、エネルギーマネジメントシステム、省エネグッズ等、新たなビジネス展開が想定される。

感想

現状、電力は各地域の電力会社により、トップダウン式でもたらされる。しかもそれぞれの電力会社はそれぞれの管轄をもっており、競争は生まれない。料金も固定。そのような無競争の環境下における今回の一連の東電原発事故は「なにも自分たちを脅かすものがない」といったある種のおごり、怠慢からきたものではなかっただろうか。リスク管理を怠った上に、事故が起こってしまえ ば電気料金に上乗せすることでリスクを国民に流す。アメリカでは多くの電力会社が配電や送電などで競争している。料金も戦略的に決定されている。日本はこのままでいいだろうか。今までのわたしたちの常識では、電力会社は決して競争するものではなかった。しかし今までの揺らがなかったそんな常識がなくなる日はそう遠くはないのかもしれない。日本国内の新たな市場開拓という面でも、エネルギー産業における革新は興味深い事柄だと感じた。

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