任天堂独自性が生み出したWii。任天堂の経営戦略を分析してみた!

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任天堂Wiiのすごい発想―技術競争を捨てて新しい市場開拓に成功

皆さんご存知、世界的ゲームメーカーの任天堂。彼らのWiiとニンテンドーDSが一世を風靡したのは記憶に新しいと思う。最近も3DSが発売され、任天堂 はますますゲーム業界を語る上で目が離せない存在となっている。この本では、そんな任天堂の知られざる戦略を分析している。

任天堂の独自性

まず任天堂とはどんな会社なのだろうか。マリオやゼルダなど、世界中に任天堂発祥の定番ゲームが浸透している。世界的なゲームブランドを確立し、随一の収益率を維持してきたのには、当然それなりの理由がある。
ひ とつ、一般的にはハードメーカーが独自にソフト開発もこなすということは稀であるが、任天堂はハードメーカー、ソフトメーカー、2つの側面を持った独特の 事業構造をとっている。08年前期においては、任天堂開発のソフトの売り上げが彼らの全体売り上げ3分の1を占めている。
もうひとつ、任天堂は他 の大企業と比べて圧倒的に少ない従業員数しかおらず、全体で3000人強しかいない。にも関わらず彼らは随一の収益率と効率性を誇っている。なぜそんなことが可能なのだろうか。その秘密は、任天堂がファブレスメーカー(自社工場をもたず、生産等必要な業務をすべて外部に委託する方式)であるということにある。自社工場をもたないことで、余分な設備投資負担を避け、リスクを分散させつつタイムリーな生産を続けることができる。需要の変化しやすいゲーム業界では、ラインの固定化は将来の負担になるのだ。

Wiiのもたらした革命

Wiiの誕生は社長・岩田聡の現状のゲームに対する不満を発端とする。彼は、ゲーム技術の発展にともなうプレイの高度化、複雑化によって、ゲームというものが集中力を高めるための孤独な作業になっているというこ とに疑問を投げかけた。彼にとってのゲームとは「もっと楽しく、みんなでわいわい言いながらやるもの」だった。その疑問の答えとして彼らはWiiの開発に 着手する。その開発過程は社長からのアップダウン方式ではなく、岩田の構想を中心とした社員同士のディスカッションによって進行していった。ここは重要な ポイントだったと思う。アップダウン式ではトップの意向を実現させるというモチベーションしか生まれないが、ディスカッションによる進行ならば社員の意向 も活かされることになり、より彼らの生のモチベーションを高めることができるからである。ゲームの高機能化に疑問を投げた彼らは、「あれもつけてこれもつ けて」という発想ではなく、「これとこれはいらない、これは“使いやすい”ゲームに必要だから残す」という消去法の発想のもとに開発を進めた。高速高精度 は追求せず、シンプルなローテクへの転換である。高機能化を追求し、いろいろな要素を詰め込みすぎると、コンセプトが弱くなる。ひとつの尖った部分を強調 することで、明確なコンセプトを打ち出すことは、Wiiの事例に限らず様々なケースで有効だと感じた。

4代目社長・岩田聡の魅力

任 天堂3代目社長・山内から4代目社長・岩田への変遷で会社の体質が変わった。山内時代は、山内という一人のトップの下に役員及ぶ社員が並列的にならぶかたちであった。岩田が社長になり、前述したようなトップダウンから合議制への移行がなされた。社長と役員、社員がより並列的な関係性を持つようなかたちだ。 しかも社長の岩田は役員のなかで最年少。彼は協調性を重視した対話の姿勢をとった。そこで彼の果たした役割は、たくさんの才能をまとめあげ、100%引き 出すための”まとめ役”であった。そのために彼は時間をいとわず社員との対話を繰り返し、彼のもつビジョンを社員全員が共通認識として、また目標として持 てるようにコミットしていった。このように現在の任天堂の強みは「個人と組織の融合」だ。それを達成する為に岩田は対話をくりかえして社員のポテンシャル を引き出した。そしてそれは会社のエネルギーに直結するのである。

感想

一人のカリスマが組織を先導することは確かに確実な手段かもしれない。 しかしそれが孕む脆弱性とは、そのカリスマに組織の成員が依存してしまうということだと思う。その一人が仮に衰えてしまえば、彼に依存する組織全体も衰え てしまうだろう。岩田社長のように合議制をとりいれ、社員との対話を繰り返せば、社員全体が組織を先導することになる。仮に一度失敗してもまたすぐに立ち 直ることができる。また社員が主体的に組織の動きにコミットしているという自覚をもつことでモチベーションもあがり、よりよい製品が出来上がる。「組織を 引っ張ってやる」という意欲をトップはもちろんのこと、社員の一人ひとりが感じることができる環境こそ、組織を活性化させる秘訣なのではないだろうか、と 感じた。

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