東雲侑子は短編小説をあいしているの書評・感想

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東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)

 三並英太は高校生にして人生に熱を失っていた。その理由のひとつは彼の家にいる。兄・景介の彼女である有美だ。英太が小学生のころから家に出入りしていた彼女に密かに恋をし、そしてその時点から失恋をしていた。そんな経験が、彼から熱を奪ってしまったのだと思う。
 そんな英太が図書委員をやっている理由、それは図書委員が一番楽だからだ。クラブ活動が義務付けられている学校で、図書委員をやっていればクラブに入らなくてもよい。そして図書委員は、週二回の窓口業務をこなせば良かった。

 図書委員における彼のパートナーの東雲侑子は、いつも黙々と本を読んでいる。窓口でも、教室でも、帰宅時の路上でもだ。ある日、英太は彼女が西園幽子という名前で小説家デビューしていることを知る。
 英太があるお願いをしたことから、その見返りに、彼女の取材活動の一環として付き合っているふりをすることになった。一緒に帰ったり、デートに行ったり、家に遊びに呼んだりしているうちに、彼は自分の心が変化していることに気づく。これまで無意識に避けていた有美に、普通に接しられる様になったのだ。

感想

 激しく何かが変化するのではなく、静かに、密やかに、自分でも気づかない間に変化していく心が物語の中心にある。その変化を、章ごとに差し込まれる西園幽子の短編「ロミエマリガナの開かれた世界」が表現している。
 英太が侑子に魅かれるのは分からなくもないが、一方で侑子が英太に魅かれる理由が今のところ明らかになっていない気がする。そのあたりをフォローしつつ、次巻を楽しみにしたい。

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