「HTML5」が世界を変える? ウェブの次世代技術「HTML5」がもたらす変化。

4555views折笠 隆折笠 隆

このエントリーをはてなブックマークに追加
ウェブ進化 最終形 「HTML5」が世界を変える (朝日新書)

概要

ウェブの次世代技術「HTML5」がもたらす変化を概説する。著者はKDDI総研のリサーチ・フェロー。

HTML5は世界をどう変えるか

HTMLとはウェブ構造を記述するコンピュータ言語。「HTML5」が注目を集めるのは、もっぱらページの設計だった旧バージョンと違い、ウェブを万能の情報処理プラットフォームに変える可能性があるためだ。

まずHTML5によってウェブ・アプリ(クラウド)の機能が向上するのが大きい。これはマルチ・デバイス時代に必須。情報処理プラットフォームはやがて、OSからブラウザへと移っていくだろう。

HTML5の規格化終了は早くても2012年の予定だが、すでにアップルやGoogleなどが支持。事実上の次世代標準と言っていい。

HTML5を共通基盤として産業が再構築されれば、情報端末から自動車、家電までウェブを介して連携できるようになる。とくにネットを生かした高機能家電の市場が激変。日本のメーカーはこのチャンスを逃すな。

HTML5とは何か

従来のHTMLとの違いは大きく以下の3つ。

(1)新しい機能の導入
新しいタグの導入により、プラグインなしで描画や動画、音声機能も直接貼り込めるようになった。デスクトップからブラウザ内へのドラッグ&ドロップや、オフラインでの使用も可能に。

(2)HTML文書の論理構造の明確化
XHTMLの長所である「記述上の厳密性」を取り込んで作成。将来、機械同士で文書を読み合うケース(M2M)でも問題ない。

(3)異なるブラウザ間の互換性を実現
ユーザーから見た利便性はもちろん、ライバル同士である各メーカーが協力意識を持ったことに意義がある。

HTML5を巡る米IT業界の動き

(1)アップル
HTML5をFlash排除のいい契機と捉えている。Flashがプラットフォーム化すると、アップルが何かと制約を受けるからだ。

Flash排除後のアップルについては、HTML5を使いながらプラットフォームのオープン化を模索するだろうという見方がある。

(2)Google
「ウェブ」を情報社会の中心に据えたいGoogleは、その基盤としてHTML5を選択した。懸念は自社のAndroidとChromeの競合。

(3)マイクロソフト
IE9にHTML5を盛り込んだ。だが、不振のネット事業をHTML5によってどう立て直すか、ビジョンが見えてこない。

日本メーカー復活のカギを握るHTML5

現在の製造業はハードからプラットフォーム主体に移行。ハード追求型の日本はその動きについていけず没落した。だがHTML5による標準化が進めば仕切り直しに。再び日本が躍進する可能性がある。

ソニーは自社の音楽部門に気を遣い、音楽配信でアップルに後塵を拝した。昨年秋に発売したソニー・インターネットTVではプラットフォームにグーグルTVを採用。Googleと共にアップルを迎撃する。

日本のテレビは独自規格BMLを採用。だが、メーカーは次世代テレビにおいてはオープンなHTML5を支持する。独自規格は海外企業の国内進出を防ぐとの意見もあるが、時代に逆行するので避けるべき。

将来は家電から自動車まで、ネットの機能が当然のように搭載されていくだろう。アップルは主力商品を絞り込むリスクがあり、Googleはハードが苦手。日本メーカーが付け入る隙はあるはず。

HTML5で生まれ変わるマス・メディア

ユーザーはコンテンツさえ手に入れば、ネットでもテレビでも構わない。だから、各メディアが通信(=ネット)に融合していく傾向は加速。そして、多すぎるメディアの淘汰・整理が進む。

通信や流通を押さえた企業がメディアの覇権を握ってきた。これからは「通信業者」が新たなメディアの役割を果たすようになるだろう。

HTML5と各メディアの関連をまとめる。

(1)出版
救世主と注目される電子書籍。動画やインタラクティブ性を盛り込んだ電子書籍は、HTML5に向いたコンテンツだ。

アップルの検閲に懲りて日本独自の規格・XMDFを支持する意見もあるが、グローバル化を前提とした規格を選ぶべきだ。また、HTML5はサーバー管理のため、違法コピーの防止にもなる。

(2)テレビ
ネットとテレビの融合が進んでいる。昨秋発売のアップルTVは映画配信が好評でヒット。一方GoogleはグーグルTVを開発し提供している。

放送関係者はHTML5を活用しウェブをテレビに取り込みたい。だが、日本は通信インフラが優れ、配信可能なコンテンツはテレビ局製作に限らない。ネットとの融合により局の存在意義が危うくなる可能性も。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く