人の行動は環境なのか遺伝なのかまたは両方なのか。「遺伝子の不都合な真実」の書評・感想

2812viewsYuki_HinagoYuki_Hinago

このエントリーをはてなブックマークに追加
遺伝子の不都合な真実: すべての能力は遺伝である (ちくま新書)

人の行動は環境なのか遺伝なのかまたは両方なのか。これは遺伝学側からの提示である。

すごい挑発的なタイトル。物議を醸そうと釣ろうとしているのか?
と思って適当に手に取ってみたが面白かったので。

  はじめに すべては遺伝子の影響を受けている
  第1章 バート事件の不都合な真実―いかに「知能の遺伝」は拒絶されたか
  第2章 教育の不都合な真実―あらゆる行動には遺伝の影響がある
  第3章 遺伝子診断の不都合な真実―遺伝で判断される世界が訪れる
  第4章 環境の不都合な真実―環境こそが私たちの自由を阻んでいる
  第5章 社会と経済の不都合な真実―遺伝から「合理的思考」を考えなおす
  第6章 遺伝子と教育の真実―いかに遺伝的才能を発見するか

今まで私は『人の成長は環境で決まる。』とか
蚤すら環境によって飛距離が違うなど、私自身はそういう話が好きだった。(本著にも出てくるスズキメソッドなどの話)
ヒトを含む動物、または植物には適応能力があり環境を改善したり変更することで、どの用にもなることが出来る。
そう思っていた中、本著は私に違う視点を与えてくれ、また思考を深めることが出来た。
無論タイトル通り「遺伝だと勉強や努力や教育をしても役にたたない」という意味で著者は使っていない。
しかし、人間の行動の様々な所で遺伝が関係している所もまたあるのだという事実も、社会を考える上でまた考慮する必要がある。という話だ。
今まで遺伝についての話はある意味タブーであり、遺伝差別に繋がることが多かったと著者は言う。
しかし前向きな所も勿論あり、双生児(一卵性)の研究などはかなり進んでいて、(同環境、異環境などの相関係数など。)
その遺伝の研究データが環境側の教育などの有効性を高めることが出来る可能性が高いという点だ。
または遺伝子を元にしたパーソナル医療、テーラーメード治療などは既に実用化されている。
その他にも例えば遺伝の影響ががあまり見られない言語性知能などは環境が影響する所が大きい。
なのでそういう分野は学習に力を入れるとかまでは私でも容易に想像出来る。
環境によって遺伝子は自由になろうとするというのを、
私になりに解釈すると『類は友を呼ぶのではなく。友が類を作る』ということか。
これはなかなかに難しい問題ではある。
しかし、

  生物学的にホモサピエンスは単一種であり人種というものは存在しない。
  研究結果でも集団間の差よりも集団内の差の方が大きい。

というのは面白い。それだけ遺伝も多様性に富むということ。
第6章の教育の部分の内容が薄いのが惜しい。
遺伝については興味のある分野なので他にも本を読んでみようと思う。

あとがき 
この書評を読んでも遺伝を勘違いするヒトが多そうなので著者の言葉を引用して最後とする。
「遺伝は遺伝しない。」分からないヒトは是非御一読を。

感想

自身のブログ http://free.hatenablog.com/entry/2012/08/04/232553 より転載。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く