平和構築とは何か?

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「平和構築」とは何か―紛争地域の再生のために (平凡社新書)

第1章

憎悪の実態と紛争社会の現状NGO活動に従事してきた政治学者が、紛争後社会の国際協力のあり方を提唱する。「祈る平和」から「創り上げる平和」へ。紛争地域で私たちは何ができるのか。

民族間の憎悪と対立

・「民族浄化」とは、エスニック集団間の紛争において、政治権力を握った集団が他の集団を排斥、追跡することである。または、限りなく一つの集団に純化しようとする行為。
 過去の例:第二次大戦中のナチス・ドイツによるユダヤ人排斥運動や虐殺
      1948年のイスラエル共和国独立に伴う第一次中東戦争によるパレスチナ人排斥

・一つのエスニック集団による民族浄化政策は、他のエスニック集団のあらゆる権利を奪うことであり、命がけでそれらを守ろうとした結果、排除や追放に加えジェノサイドが起こる。
 典型的な例:ボスニアにおけるイスラム教徒への迫害
       コソボにおけるアルバニア系住民への迫害
       ルワンダにおけるツチ族への集団ジェノサイド
       イラクのフセイン政権のクルド人迫害

・「一文化、一言語、一民族」はありえない。多くの国が多エスニック国家である。

・民族浄化は民間人が加担していることが多く、メディアなどの洗脳によって命を奪うような非人道的行為にまで発展する。

紛争社会と経済

・未だに月2000万人が地雷で死傷している。

・地雷の目的は、怪我を負った兵士の戦闘からの排除に加え、その兵士への介護に必要な人員や資源の排除も意図されている。

・実際には遊ぶ子供たちや農地を耕す女性が対象になっているため、無差別な殺傷が起こっている。

・139カ国が署名し、111カ国が批准した対人地雷禁止条約。アメリカ、ロシア、中国などの軍事大国が署名していない。署名したアルゴラやブルンジ、スーダンの地雷を使用した可能性。

・地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)の存在。

・紛争の背後には、密輸業者やマフィアなどが存在し経済利得を得て紛争を永続化させている。

難民・国内避難民の問題

・難民の三つの形態
 1,16世紀から18世紀の絶対主義や重商主義時代にあった宗教的迫害の時代
 2,18世紀後半から生じた難民の流出
 3,19世紀末から現在までの後発社会の「国民国家」形成や宗教的、民族的衝突に伴う難民流出

・難民キャンプは一時的なものとして建てられたが、長期化のためインフラが限界に達して様々な弊害をもたらしている。

・難民の精神的ショックも深刻でありPTSDが引き起こされる

・第三国に難民が避難できても異文化の適応は大きな負担

・戦争や紛争は地球規模の自然破壊を引き起こす、地球生態系のバランスを崩壊させる。

人権侵害

・子どもの兵士が増加する背景
 1,最近の武器が軽量化。簡単な操作。
 2,暴力や薬物による洗脳が容易であり、従順な兵士になる
 3,成長過程なので恐怖心が少なく危険な前線に送り出せる

・国際法を政府が推進し、最終的にNGOや市民社会が率先して国際社会を「憎悪の文化」から「平和の文化」に移転することが必要。

・少女が民族浄化のための意図的な妊娠を目的としたレイプが横行しており、HIVの感染が引き起こっている。南アフリカの感染率が非常に高い。

第2章

紛争後社会、平和構築の起点 NGO活動に従事してきた政治学者が、紛争後社会の国際協力のあり方を提唱する。「祈る平和」から「創り上げる平和」へ。紛争地域で私たちは何ができるのか。

国民和解

・紛争後の平和構築は民族間の和解から始まる。

・「国民和解」の中心的組織は「受容・真実・和解委員会」
 目的1,政治的紛争の脈絡で起きた人権侵害を調査する
   2,過去の人権侵害に関して真実確認する
   3,発生した人権侵害の性質を報告して要因を確認する
   4,将来の人権侵害の発生を防ぐうえでの国家および非国家行為主体の手段と政策を確認する
   5,刑事訴追に妥当と思われる勧告を付けて検察庁に人権侵害で送検する
   6,犠牲者に対して人間の尊厳を回復するための支援を行う
   7,和解を推進する
   8,些細な犯罪行為によって地域社会に損害をもたらした個人に対して、和解の手法に基づく地域の融和促進を目指した受容と再統合を支援する
   9,人権擁護を促進する

・和解とは「真実、慈悲、正義、平和の四要素が重なる場所に実現する」

・上記を前提に和解を触媒する要素
 1,長期化する紛争に対して持続的な対話を促進すること
 2,対立関係にある人々の出会いを提供すること
 3,国際政治の伝統や言説など従来行われてきた範囲を超えてみること

・筆者による和解を促進する枠組み
 1,紛争をきっかけに国民国家建設の仕切り直しをする
 2,紛争をエスニシティに求めず経済発展によって国民統合(和解)への促進
 3,エスニック・アイデンティティを認める政策への促進
 4,経済社会生活における対立する集団の交流促進

インフラの復興整備

・人々の物理的、精神的な活力奪い、紛争中の経済活動を困難にするためインフラが破壊される

・JICAによれば平和構築は「紛争発生の可能性を最小化し、発生した紛争の拡大を防止し、紛争によるダメージを復興し、その地域の持続的開発に結び付けていくプロセスであり、平和構築の究極的な目的は、開発途上国にかかる力を備えることにより、恒久的な自立発展を目指すこと。」

・東ティモールのインフラ復興支援プロジェクト
 1,地域活性化プロジェクト
 2,ディリ地域雇用創出プロジェクト
 3,小規模事業支援のプロジェクト
 4,学校復興プロジェクト
 5,保健部門の復興と開発支援プロジェクト
 6,農業の復興と開発支援プロジェクト
 7,上水道と公衆衛生の復興プロジェクト
 8,マイクロ・ファイナンス支援プロジェクト

雇用創出と教育保障

・独立後に国連バブルがはじけ、皮肉にも雇用が悪化する。雇用悪化により、紛争への回帰、売春の増大、社会的犯罪の増大なと不安定要因を高める。

・教育保障には、教授言語の問題、ジェンダーの視点、エスニック集団間の憎悪の緩和が重要

第4章

平和構築の枠組みと方法〜終章

レデラックのトップダウン方式のアプローチ

・レベル1:トップリーダー(著名な軍事的、政治的、宗教的リーダー)
レベル2:中範囲リーダー(各セクターで尊敬されているリーダー)
レベル3:草の根リーダー(地元リーダー)

・統合的かつ包括的な平和プロセスが必要

国際NGOの重要性

・「オックスファム」の戦略的変革目標
目的1:持続可能性な生活の権利
目的2:基本的社会サービスに対する権利
目的3:生命と安全に対する権利
目的4:声が届く権利ー社会的、政治的市民権
目的5:アイデンティティに対する権利ージェンダーと多様性

・平和継続には、民主的なシステム、政治体制が必要。そのためにも、自由で民主的な選挙の実施が重要な手段の一つ。

まとめ

平和構築の問題は一国家国民が解決できるものではなく、国際的な問題として地球規模で考え、努力することで少しずつ改善する。
多くの人々が平和のために行動に移す必要性がある。

感想

有益な情報を詳しく学べます。
ぜひこの本によって蓄えた知識を役に立てたい。


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