行動分析学するとわかる人が「待ち合わせ」に遅れる理由。「人は、なぜ約束の時間に遅れるのか」

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人は、,なぜ約束の時間に遅れるのか 素朴な疑問から考える「行動の原因」 (光文社新書)

はじめに

著者の島宗理さんは現在、法政大学文学部心理学教授で、専門は行動分析学です。
これまで行動分析学の著書を多く執筆されています。

筆者によれば、行動分析学とは、
『行動と環境の相互作用を実証的に研究することで、さまざまな行動の法則を蓄積してきた心理学である。本書では、日常生活における「行動のなぜ」を取り上げ、そこにどんな行動随伴性があるか、解決すべき問題であれば、行動随伴性をどのように調整したり設定したりすればいいのかを提案していく。』(p43)
ここでいう行動随伴性とは、《~のとき、~すれば、~になる》という関係性です。分析の基本単位とされています。各条件を調整して、行動を改善していくということです。

待ち合わせに遅れる理由を分析する

『約束の時間に遅れる人は「だらしない」から遅れるのではない。(中略)ここで、《心》の概念を使わずに、「行動のなぜ」を読み解く視考術の出番となる。(p21)』
というように、筆者は行動の原因を性格のせいにするのではなく、行動の分析によって明らかにすべきというスタンスを貫いています。

たとえば、夜7時に渋谷モヤイ像前でデートの待ち合わせをするときを例として考えると…
①準備を始める
②準備をする
③家を出る
④電車に遅れずに乗る
⑤目的駅に着く
⑥モヤイ像まで行く
⑦約束の時間までにモヤイ像の前に着く

という段階に分けられます。
各段階で、準備に予想以上に時間がかかったり、駅に行く途中で寄り道したばっかりに時間をくってしまったり、電車を間違えたり、渋谷には着いたもののモヤイ像の場所が分からなかったり…と、さまざまな遅れる要因が予想されます。
(※本書では、①~⑦を表にし、矢印と丸でダイヤグラムを作成しています。)

本書での分析法に基つき、各段階で起こりうる事象を考えていった結果、最も差がつく段階は①の準備を始める段階であることが分かります。
よく待ち合わせに遅れる人は、準備を始める時間が遅いということです。

分析の段階で、ある行動を引き起こす出来事、条件などを先行事象、行動によって変化するものを後続事象と呼びます。
本書では、先行事象と後続事象を表にあらわし、それがどれくらいの時間差で表れるのかを矢印の長さを変えて示しています。

血液型信仰が現実化するカラクリ

さて、日本では血液型別に性格を分ける論が有名です。
医学的には根拠がないことが分かっていながらも、どうしてそういう見方をしてしまうのでしょうか。これも集団の行動の観察によって分かります。

たとえば、各血液型が1人ずついる仲良し女子のグループが、休日に遊びに行く場所を話し合っているとします。
A型の女の子Aさん「六本木ヒルズに行きたい」
B型の女の子Bさん「六本木より、巣鴨の地蔵通り商店街に行きたい」
O型の女の子Oさん「表参道ヒルズに行きたい
AB型の女の子ABさん「六本木ヒルズに行きたい」

さて、行き先を話し合う場合、まず日本人の一般的な特性として、自分のワガママを通すことは抑制されます。
しかしながら、ここではBさんがワガママを主張しそこに決定してしまう可能性が高いのです。
なぜなら、Bさんはこれまで血液型による性格分類が根付いた日本で育ってきたため、「B型の人はワガママだなあ」と思われながらも、その主張を認められてきたと可能性が高いのです。Bさんはそうした経験からますます自己主張が強くなりますし、周りの女の子は反対に自分の主張をしなくなります。

つまり、血液型信仰それ自体が根拠のないデタラメであっても、それを信じて行動し経験をつんできたために、それが正しいかのようにふるまってしまうということです。

これは血液型に限りません。
たとえば上司について「あの上司は部下の言うことをきかないからダメだ」という噂を知っていることによって、ますます部下はその上司に対して主張をしなくなっていき、その噂がさらに事実「らしく」なってしまうという悪循環が生まれるでしょう。

日常に使える多くの事例

本書にはほかにも、

■学生時代ひっこみ思案だった佐藤さんが社会に出てから営業マンとして成功した理由
■傘を忘れないための行動
■地べた座りや電車での化粧がなぜなくならないのか
■なぜ災害時のアナウンスが無駄になってしまうのか
■なぜパソコンでウイルス感染を防げないのか

といった例が挙げられ、それぞれ原因と改善法が示されています。

特に僕自身は、傘を忘れないためにどうしたらいいか、という箇所が印象に残っています。

行動分析学の基本的な用語や考え方を用いながら、日常のさまざまな行動を分析した本書は、行動の原因を考えるうえで大きな示唆を与えてくれます。

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