なぜ選挙に行かないと4000万円の損をするのか?

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若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? (ディスカヴァー携書)

はじめに

タイトルを見て、気にならない人はいないでしょう。選挙に行かないことがどうして4000万円の損になるの!?という疑問をもってもらうことが、本書の狙いなのだと思います。平易な解説と具体例で、政治の大まかな仕組みを解説した本書。若い人だけでなく選挙の重要性がいまいちわからない全年齢の方に読んでもらいたいです。

著者紹介

(以下、本書の著者紹介より)
著者の森川友義さんは、1955年群馬県生まれ。早稲田大学国際教養学部教授です。専門分野は進化政治学、日本政治、国際関係論。主な著書に『なぜその人に惹かれてしまうのか?』『なぜ日本にはいい男がいないのか 21の理由』(ともにディスカヴァー刊)があります。

棄権が世代間の受益格差を生む!!

40歳未満の人たちは、65歳以上の人たちの比べて4000万円以上の損害をしています。
なぜなら、
 若い人たちが選挙の際に投票に行かず棄権する
→若い年代の投票率が下がり、高年齢層の投票率が上がる
→立候補する議員は、得票のために高年齢層に受けのよい政策を掲げるようになる。
→政治的な利益が高年齢層にむけられていく
という連鎖が起こるためです。

・世代会計からみた受益構造のグラフ(p19)を見ると、2005年の時点で50歳代の人たちを境に、それより若い人は負担のほうが大きく、60歳以上の人たちは受益のほうが大きくなっています。その差4000万円!

・若い世代は、もともと総人口も少ないうえに投票率も低いため、国会議員の立場から見ると政策によって利益を与える必要が感じられないのです。このため、選挙では若い世代から支持を得られるような政策をアピールする必要がなく、確実に投票してくれる高年齢層に訴えかけるのが確実になります。

なぜ棄権をしてしまうのか?

さて、ではどうして棄権をしてしまうのでしょうか。
森川さんのまとめによれば、
「われわれ有権者は、選挙にあたっては棄権もするし、政治リテラシーもあまりない、でも他力本願的に、誰か世の中をよくしてくれないかなと願う動物である」(p35)
ということです。

・国家議員と有権者の関係は、八百屋とお客さんの関係に似ています。民主主義の選挙では、政党が政策という商品を売りたいがために競争しているのです。ただし、選挙と買い物が違うところは、代金の支払い(投票)と商品をわたす(選挙公約を果たす)までのタイムラグがある点です。
日本特有の政権交代の少なさや、このタイムラグの存在によって、議員がもたらしてくれる利益が少なくなったり違うものになりやすいのです。

・賢い人ほど棄権する、という「合理的棄権仮説」…賢い人は、選挙区の何十万分の1にすぎない自分の票が結果を大きく左右しないということを分かっているため、わざわざ時間をかけて投票に行かない。
←ただし、自分の1票が結果に大きく関わることがわかっている場合など合理的な投票になるときは投票に向かうことになります。

・賢い人ほど政治に無関心になるという「合理的無知仮説」…数年に一度の選挙のために様々な情報を得ることのコストが高く感じられるために、政治自体に無関心になるということです。

・政治リテラシーがなくとも、とにかく投票所に行くべき。まずは投票率をあげること。(実際の投票でどうやって決めるかについては本書に4つの方法がまとめられています。)

国会議員の実態

・国会議員は、実際のところ、国益のためではなく、自分の選挙区で自分を当選させてくれる有権者のために働いているのです。

・日本は官僚の力が強く、国会議員の力が弱い。このため、国会議員の力をもっと高めるべきです。

・選挙においては、極端な意見をもつ支持者よりも、中間的な意見をもつ支持者に合わせて政策を訴求するため、どの政党も似てくる結果になります。このため自民党も民主党も似たような政策になりがちです。

・(第3章の後半では、国会議員の派閥、世襲、学歴について具体例が多く示されています。)

特別利益団体の存在

・特別利益団体は、国会議員に絶大な影響をもっています。組織票と政治献金があるためです。
・特別利益団体は、利益が集中していて、財政的に逼迫していない人たちが自らの権益を守りたい場合に形成されます。

日本は官僚社会!

・日本では官僚が絶大な権力を握っている。官僚は自らの利益のために働き、その場合の利益とは①自分の所属する省庁の予算が増える②自分が出世すること、の2点である。
・官僚が法律をつくっていること、天下りのシステムなどが問題である。
・官僚の問題を解決するために筆者は、人事権を国務大臣に委譲することや、各種法人の統廃合の促進、天下りの廃止など5つの提言をまとめています。(p170-176)

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