震災直後の日本のソーシャルメディアの動き「検証 東日本大震災 そのときソーシャルメディアは何を伝えたか?」

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検証 東日本大震災 そのときソーシャルメディアは何を伝えたか? (ディスカヴァー携書)

はじめに

著者の立入勝義さんは、1974年大阪生まれ、ロサンゼルス在住のブログ作家、ソーシャルメディアプロデューサーです。
この本は、震災直後の日本のソーシャルメディアをめぐる動きを、アメリカ在住の筆者ならではの視点でまとめた著作です。特に海外での日本支援の動きなどは、立入氏でなければなかなか書けない内容です。具体的な事例を多く紹介しながら、今後の復興や国際化にむけて日本人がどうするべきかを提言しています。

1章 地震の余波と4つのソーシャルの波

・震災時に最も役に立ったネットサービスはツイッターだという回答が多く寄せられた。
・震災当日、NHKの柔軟かつ迅速な対応が役に立った。特に、NHKをユーストリームで中継する試みが功を奏し、停電でテレビが見られない地域にも情報が発信された。
・YOUTUBEで、災害の様子や原発関連情報を伝える動画が広く配信され、ソーシャルメディアを通じた支援(ソーシャル支援活動)につながった。

・津田大介氏、早野龍五氏など、震災直後からツイッターで多くの著名人がインフルエンサーとして活躍した。
最も活躍した10人を筆者が選定し、それぞれの活動と特徴的なツイートが紹介されている。

2章 ソーシャル論争の波 ~光と影~

・筆者は今回の大きな変化を次の2点にまとめている。
①震災後短期間で、日本におけるソーシャルメディアの認知度が飛躍的に高まり、情報のやり取りの質と量が高まった。
②マスメディアとソーシャルメディアの融合や提携についての具体的な実績ができた。

・マスメディアが伝えず、ソーシャルメディアだけが伝えた事実の例
・デマや風評被害の例(コスモ石油やドワンゴのデマ)
→「デマが拡散しやすい」というソーシャルメディアの大きな弱点が今回露呈した。

・節電と自粛の拡がり、ACジャパンCMの大量放送
・募金先のシステムを確かめる「チャリティー・リテラシー」の必要性。例…ユニセフ

・震災直後のツイートにより、Kloutスコア(ソーシャルメディア上における影響力の多きさを数値化したもの)が急激に上がった例…筆者自身の例

第3章 海外世論の波

・米大手メディアNBCに、「日本に寄付するな」という極端な内容のエントリーがアップされた。
本書では当該記事前文と、それに対する筆者の反論が掲載されている。

・原発関連の情報に関し、海外から情報開示を求める声が多数上がったが、日本はなかなかそれに対応できなかった。日本に特有の隠蔽体質の欠点が露呈した。
・日本人は語学の面で海外とのコミュニケーションに不利であり、国内企業のこれからの海外進出を考えても英語習得が必要である。
・筆者は、海外在住の日本人として、こうした現状を改善すべく、ソーシャルメディアを用いた異国間のコミュニケーションを推奨し自ら実践している。

・海外メディアで流れた原発関連のトンデモ情報の事例

・アメリカ、韓国、中国、そして台湾からどのように支援がなされたかの紹介。特に、韓国での報道について中央日報のク・ヘヨン氏との対談が収録されている。

・震災直後も社会秩序が保たれ、国民が一体となって行動する日本の様子が世界を感動させた。

第4章 わたしが目撃した国内外の震災復興支援の波

・ジャズアルバムによるチャリティイベント「Jazz for Japan」、Team Razer、米国赤十字社、レディー・ガガ、ほか多くの著名人、団体、企業による支援の例

第5章 これからの日本に到来するもうひとつの波

・震災によって通信インフラの弱点が明らかになった。特に携帯電話での通信の制限により困難が生じた。
・「デジタルデバイド」ならぬ「ソーシャルデバイド」の問題。ソーシャルメディア上でどういった人とつながっているかによって、得られる情報に大きな差がつく。また、マスメディアの情報を鵜呑みにしがちな日本人にとって、ソーシャルメディア上での膨大な情報の取捨選択の能力が必要になってくる。

・国家のICT(情報と通信技術の有効活用)戦略や、民間によるIT復興支援会議の紹介
・今回の復興支援でもICTが重要である。

・反原発デモや運動が多く行われたが、マスメディアがそれを報じない場合があった。
・ソーシャルメディアの拡大と普及により実名制の壁がなくなることを筆者は願っている。ネットの実名制への移行によって日本人が得られるものは少なくない。
・これからますます新たなインフルエンサーが登場してくるだろうが、そうした場合に必要な3つのポイント
①独自の視座、キュレーション
②高いエンゲージメント能力
③言語の壁を恐れない。自己のPRができる
・今後日本人は、積極的にソーシャルメディアツールで海外とコミュニケーションを図るべきである

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