灘中学の名物授業で使われた教材。夏目漱石が絶賛した美しい日本語「銀の匙」

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銀の匙 (角川文庫)

本書の概要

灘中学の名物授業で、3年間を通して使われていた教材だそうです。夏目漱石が絶賛した、「美しい日本語」

誰しも持っている、子ども時代の思い出。
明治の東京の風景、ひ弱だったためか伯母さん、近所の女の子たちとの思い出。

第1章

  私の書斎のいろいろながらくたものなどいれた本箱の引き出しに昔から
 ひとつの小箱がしまってある。それはコルク質の木で、板の合わせめごとに
 牡丹の花の模様のついた絵紙をはってあるが、もとは船来の粉煙草でも
 はいっていたものらしい。なにもとりたてて美しいのではないけれど、
 木の色合いがくすんで手ざわりの柔らかいこと、ふたをするとき ぱん
 とふっくらしたおとのすることなどのために今でもお気にいりのものの
 ひとつになっている。なかには子安貝や、椿の実や、小さいときの玩び
 であったこまこましたものがいっぱいつめてあるが、そのうちにひとつ
 珍しい形の銀の小匙のあることをかつて忘れたことはない。

第14章

 私はいつになく喜んで昼飯をたべてたのにおりあしくむこうから人がきたもので
 すぐさま箸をほうりだして もう帰る といいだした。生きもののうちでは
 人間がいちばんきらいだった。そんなふうで私がなにを食べてもうまがらないのを
 伯母さんは独特の弁舌で上手に味をつけてたべさせる。蛤の佃煮はあのかわいい
 蛤貝が竜宮の乙姫様のまえを舌を出してはってあるくということのために、
 また竹の子は孟宗の親孝行の話がおもしろいばっかりに好きであった。
 むっくらした筍を洗えばもとのほうの節にそうて短い根と紫の疣がならんでいる。
 その皮を日にすかしてみると金いろのうぶ毛がはえて裏は象牙のように白く
 筋目がたっている。

第17章

 「夜なかにこわかったら呼ばらんしょ。伯母さんはきついでみんな逃げてしまうに」
 といっていろんな話をしながらねせつけてくれる。四角い字こそ読めないが
 驚くほど博覧強記であった伯母さんはほとんど無尽蔵に話のたねをもっていた。

第18章

 私はわからぬながらも歌のなかの知ってる言葉だけをとりあつめておぼろげに
 一首の意味を想像し、それによみ声からくる感じをそえて深い感興を
 催していた。そのじぶん私は古い歌がるたをもってたが、それには一枚のふだ
 のなかに歌と歌にあわせた絵がかいてあって、けばだって消えかかっては
 いたけれどそれでも松に雪のふりつもっているところや、
 紅葉のしたに鹿の立っているところなどぼんやりと見わけわれた。

第20章

 伯母さんは茄子だの瓜だのをすこしずつかって畑へうえる。茄子の紫がかった苗、
 かぼちゃやへちまのうす白く粉をふいたような苗が楕円形の二葉をそよがせてる
 のを朝晩ふたりして如露で水をかけてやる。苗は見るたんびに成長して、
 つるがでたり、葉がでたり、しまいには畑じゅうのたくりまわって
 大きな実をぶらさげる。それを楽しみにして検分にゆく。そんな世話の
 すきな伯母さんは愚痴を言い言い竹を立てて手をとってやるとひと巻き
 ふた巻きと日に日につるがまきついて、あらっぽい葉のあいだに黄いろや
 紫の花がさく。

感想

その後は、小学校に上がり、

お国さんや、勝気なお惠ちゃんとの思い出など。

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