橋下徹ら“改革派”首長が脚光を浴びている。地方自治の本質を問い直す!

1529views折笠 隆折笠 隆

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暴走する地方自治 (ちくま新書)

橋下徹ら“改革派”首長が脚光を浴びている。迷走する国政を尻目に支持を広げているが、果たして彼らに成果は期待できるのか? 熱狂の中で見過ごされがちな疑問を分析し、地方自治の本質を問い直す。

大阪都、中京都、新潟州…相次ぐ大都市構想

1…大阪都構想/制度をいじったくらいで経済は浮上しない。地域主権を叫びながら、基礎自治体の権限を広域自治体が奪う矛盾も
2…中京都構想/河村市長の言う「司令塔の一本化」が意味不明。都市と地方の相互扶助関係を無視した「準独立」宣言は地域エゴ
3…新潟州構想/政令指定都市昇格後、わずか数年で市を消滅させる動き。目的は?

現状を変えようとするポーズ自体が目的と化している。結局、変えることでどんな結果を作りたいのかが見えない。

改革派たちが遺したもの

■地方自治は直接選挙による大統領制に近いため、改革派が主導権を握りやすい。が、彼らは成功をもたらしたのか。青島幸男ら歴代の東京都知事は目立った成果を上げられず、橋本大二郎(高知)や田中康夫(長野)は任期中に県民所得が悪化した。また、改革派は立場上、前任者の方針を否定するため、ストップしてしまう政策も多い。

地域主権の落とし穴

■中央集権のアンチテーゼとして、地方分権という考えが生まれた。だが、地方に権限移譲をすればするほど現状は改善されるだろうか? 福祉やエネルギー政策、インフラなどは、国が責任を持って一律に行う方が混乱が少ないはずだ。

■改革派首長が狙っているのは、住民自治ではなく団体自治(自分たちで好きなことをやりたい)であって、住民サービスの向上とは別。また彼らは国を悪玉にするが、国が地方の自由を奪っているという見方自体が勘違いである。

欧米は本当に分権国家なのか

■実は、欧米は日本人が思うほど分権国家ではない。特にイギリスは、財政の点で地方自治体の制約は大きく、条例制定も国の許可がいる。また、世界的な潮流は大都市の強化。改革派首長たちが掲げる大都市解体論はその流れに逆行する。

混迷する国政のあだ花か

■暴走気味の地方自治に住民が期待を寄せてしまう背景には、国政の混迷がある。中央省庁の再編は効果をもたらさず、短命政権や世襲政治が不信感を増長させる。

地方自治はどこへ行く

■本来の地方自治とは、住民と行政が一体となってじっくり課題に取り組む地道なものなのだ。いまの劇場化した地域主権は、その本質を見失わせている。都市と地方の温度差による、国家分断の危険もはらむ。

■改善案としては
・地方議会の強化/首長とわたり合えるだけの存在感を示せ
・憲法改正(92~95条)/首長制だけでなく議院内閣制の導入も一考
・住民のチェック機能強化/リコールの条件緩和など
・マスコミのあり方/改革を持ち上げるだけなく、検証することこそ役目
・参議院改革/ねじれ国会が国政の不安定をもたらす

人気取りの制度改革に踊らされるのではなく、長期的視野に立った地方自治をめざそう。

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