犬に物理の話をするのはなぜか?現代物理を読み解くヒント

2646views鷹森雀ノ介鷹森雀ノ介

このエントリーをはてなブックマークに追加
犬でもわかる現代物理

擬人化した雌犬(姿は犬だが既に脳は犬ではない)と人間との会話で、現代物理を読み解いていきます。おやつを貰う、ウサギを捕まえるといった犬に関係することを物理の事象に例えて説明しています。真面目な本です。

第1章 犬に物理の話をするのはなぜか

文章のはじまりに、物理学の本といった感じは全くありません。むしろ「これは小説だろうか」といった冒頭。擬人化された雌犬のエミー(犬ではあるが人の言葉を解し、さらに、主人公と会話することができる)と、飼い主である著者の出会いから、この本の物語ははじまります。

以降、著者が犬に現代物理を説く形で物語は進行していきます。そして、なぜか犬は既に物理にかなり詳しいのです。このことから、この本がすでに【ある程度物理の知識を持った人向け】であることが伺えます。

第2章 骨はどこ?

犬がウサギやリスを捕まえることや、おやつをもらえること、骨をどこへやってしまったか、などを物理現象に例えて説明しています。
この章では骨をなくしてしまった犬との会話で、ハイゼンベルクの不確定性原理について詳しく説明しています。

第3章 シュレーディンガーの犬

「とにかく猫を箱にいれるって考えがいいわ。猫なんて箱がお似合いなのよ」の犬の言葉に驚愕。この本は全体的に猫やリス、ウサギの扱いがぞんざいなので、げっ歯類派と猫派は怒りだすかもしれません。まことにすごい犬本です。
コペンハーゲン解釈について説明している章です。

第6章 穴掘り無用

犬がフェンスを飛び越えることにたとえて、量子トンネル効果を説明。だが、ムダに例えない方が簡単だということを身をもって示してくれた章。

第10章 悪のリスにご用心

ついにリスまで喋り始めます。最終章。
今までとは一風変わって、現代物理のお勉強の話ではありません。悪のリス=量子論を悪用した詐欺について書かれた章。
量子力学の奇妙でいて素晴らしい特性はあくまで科学的なものであって、魔法ではない。量子が万能であるかのごとき説明をする悪徳商法にご注意を、といった注意喚起の意味合いをこめた章です。

著者は量子論を専門に扱っているからこそ、曲解や悪用されるのが許せないのかもしれません。この章はこの本の中で一番ためになりました。この章のためにこの本を読むのも良いと思います。

感想

犬でもわかる……わかるわけがない。やはり「○○でもわかる」関係は小難しいです。理解するには基本的な物理(と犬)の知識が必要かと。そして、ここに出てくる擬人化された犬は既に物理のことを理解していて、ある意味騙された感があります。
チワワがとかグレートデンがどうのとか出てきますが、犬に詳しくない人が読んだら余計わけがわからなくなりそうです。
言ってしまえば、物理を知っている人が犬を理解するために読む本ともとれます。
犬好きさんには興味を持って読んでもらえるかもしれませんが、そうではない人にはある意味試練。

読み終わった感じとしては、飼い主と犬とのやりとりは面白かったけど、物理のことはあまりよくわからなかったという感じです。
読んで損はしないと思います。ある意味。
メス犬のエミーはお嬢様っぽくて可愛いです。

犬でもわかる現代物理

犬でもわかる現代物理

  • チャドオーゼル,ChadOrzel

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く