原発を容認した大人は、福島だけに被害を押し付けるな「原発のウソ」

8500views折笠 隆折笠 隆

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原発のウソ (扶桑社新書)

概要

京大原子炉実験所助教・小出裕章氏が、原発の諸問題を追及する。

福島第一原発はこれからどうなるのか

■楽観ムードがあるが現状は極めて危険で、大事故が起こる可能性も否定できない。

■最悪のシナリオは水蒸気爆発。圧力容器が破損し、これまで以上に放射性物質が拡散する。

■水が漏れている以上、水棺は疑問。やるとすれば、圧力容器と格納容器をひとつの容器として、全体で水をループさせる。

放射能とはどういうものか

■放射能の怖さは、DNAを破壊し遺伝子異常を引き起こすこと。JCO臨界事故では、被曝者の細胞が再生されず、全身が焼けただれるようにして亡くなった。

■今回の事故で、すでに原爆80発分の放射性物質が飛び出している。いま問題なのは内部被曝。ベータ線やアルファ線は、進む距離は短いがエネルギーが大きい。

放射能汚染から身を守るには

■人体への影響はLNTモデル(=線量の増加に伴い危険性が増える)で説明される。原発推進派はこれを認めず、一定量以下の被曝なら影響ゼロとの立場を取る。

■表土除去など被曝を少しでも減らす方策が必要だ。汚染された食物は隠さず流通させた上で、大人が引き受けるべき。

■被害を福島だけに押し付けてはならない。大人たちが原発を容認していたのだから。周辺住民の重荷は必ず社会全体が共有し、支える必要がある。

原発の“常識”は非常識

■原発の運転により、日本国内にある死の灰は広島型原爆の80万倍に及ぶ。国は原発の危険性を分かっていたので、原賠法で電力会社の賠償責任の上限を設定。電力会社に建設を促した。

■電力会社の利潤は、市場原理ではなく資産で決まる。原発は作れば作るほど資産になるから、電力会社は建設をやめない。一方で電力料金は高騰。

■「原発は低コスト」は嘘。再処理や開発費用を加えると火力より高い。発生した熱の3分の2は水に伝わり、海に捨てている。どこがクリーンなのか。

原子力は未来のエネルギーか?

■化石燃料枯渇への恐怖が原発推進を容認してきた。だが石油可採年数は増加。「石油がダメだから原発」は誤り。

■資源不足を解決するべく始めた核燃料サイクル計画も失敗続き。もんじゅは1兆円を注ぎ込んで1kwも発電していない。

■プルトニウムを処理するために、MOX燃料対応の原発(大間原発)を建設中だ。原発の問題をクリアするためにまた原発。悪循環から抜け出せない。

地震列島・日本に原発を建ててはいけない

■地震多発地域に原発を54基も作ったのは日本だけだ。浜岡原発は、必ず起きる東海地震の想定のど真ん中。今回の停止を、津波対策のみならず全原発の安全対策検証の契機にするべき。

■高速増殖炉もんじゅの冷却材はナトリウム。空気に触れると火災が発生する。水に触れても爆発するから、消防車も使えない。地震で施設が破損したらすべてが終わる。

原子力に未来はない

■原発は、先進国では縮小傾向にある産業。その上、日本は原発技術の後進国だ。原発は止めなければいけない。実は全原発を止めても、火力の稼働を7割(通常5割)にするだけで必要量は賄える。

■核のゴミは、六ヶ所村では300年監視が必要。もう、原発で得たエネルギーより、処理のデメリットの方が大きいではないか。

■代替エネルギーの開発と普及を考えよう。日本はかつて太陽光発電では世界トップの技術を誇った。一方で、エネルギー大量消費を前提とした生活を考え直す必要がある。

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