ただのほほんと生きていることが怖くなった「流学日記―20の国を流れたハタチの学生」

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流学日記―20の国を流れたハタチの学生 (幻冬舎文庫)

「ただのほほんと生きていることが怖くなった」という筆者が大学を休学し世界を留学ならぬ『流学』していく日々を綴った一冊.アジア,中東,アフリカと各地を転々とし,ボランティア活動を続けていく筆者の行動力には驚かされる.ピラミッドに勝手に登って逮捕されたり,失恋のショックで自分の体を苛め抜いた後,断食して精神世界に足を踏み入れたりと,自由奔放に旅するなかで人間,世界,そして自分自身に向き合っていく.ひとつひとつが日記形式になっており,死体を扱うシビアな話から笑い話まで,バラエティに飛んだ内容で短く読みやすいのだが,その短いなかに筆者が感じた真理が詰め込まれていうる気がした.また,本書では俗的な部分をさらけ出しつつも,急に詩的な文章を書いたりと魅力的な人物である.「人に影響を与える人物になりたい」と記しているが,私も筆者の素直な人間,生き方への思想には少なからず感化された.

印象に残った言葉

「どちらか一方が与えるだけの活動なんて,いい活動じゃないよね.ボランティアする側,される側両方にとって得るものがあってはじめていいボランティア活動っていえるんじゃないかな」(興味本位で自分の為にボランティア活動を利用していると思った筆者に対して)

中東を訪れた時,そのイメージとは違う人々のあたたかさに驚く.それは現地の人はアメリカの『洗脳』という.「イスラム=危険というイメージだと言ったけれど,ニューヨークを夜一人で歩けますか?毎日300人がレイプされ,罪の無い70人の市民が殺されている国とどちらが危険と思いますか?この50年間でどの国が一番戦争を起こし,どの国が最も多くの人間を殺してきたか知っていますか?」と聞かれ世界が分からなくなった.

「俺はこうやって今しかない今を,想うがままに生きていく.そして,その選択に失敗はあってもまちがいはない」

「僕はカシオのいい時計を持っているのに時間を持っていなかった.彼らは時計を持っていないのにいっぱい時間を持っていた」

「きっとこの視野の狭さこそが,『自分の周りさえよければ,他がどうなろうと関係ない』という無関心と結びついて,世界に多くの問題を生んでるんですよ.だからこそ目の前の日常に埋没している僕らの興味を外に拡げていくこと,それこそが世界の問題を改善していく第一歩になるんですよ」

歴史の中で氏族→部族→国家,と広がってきた人間のアイデンティティの次のステップは『人類』
善悪の基準は「それが人類にとっていいことなのか悪いことなのか」
「我が国のために」とか言ってる人ほど,国のために世界をおかしくしている.
国籍の枠組みが消えたとき,世界はもっとよくなる.

「見えないものを見ろ」
私たちが古着をアフリカに送る.
アフリカのマーケットに良質な衣服が安い値段で出回る.
アフリカの衣服産業は育たない.

「日本を出てから僕がずっと探し続けていたモノ,それは自分だったんです.」
どこへ行っても,宗教も言葉も文化もみんなおもしろいくらい違うのに,みんなおもしろいくらい同じだった.結局幸せを求めている人間だった.

「過去の経験から来る『無理』とか『できない』という反応とは別に,『やる』『やらない』を自分の意志で選べるかどうかが人間と動物の大きな違い」「未知のモノに臨むとき『こわい』と感じるのは生物として自然な反応です.その反応を受け止めた上で,自分の意志しだいで自分の行動を選択できること.それこそが,人間の持つ最大の自由です.」

「何やりたいかわからないときこそ,なにかはじめていかないと,何も見えない場所で立ち止まりながら『何も見えないよ!』って言ってても,何も見えてこないですよ.」
「将来,何やりたいか決まってない」と言ってる人ほど,高校生の延長みたいな学生生活を送っている.
高校生並の行動範囲で見えてくる少ない選択肢の中から「将来自分がやりたいこと」を探すのは至難の業.
長く浸っていて住み慣れてしまった自分の枠から一歩外に出る勇気.

世界で活躍している人たちの共通点は,世界で通用するだけの専門性を持っていることと,少なくとも英語は話せるということだった.

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