11人の有名編集者が教える! ブランドメディアを作り出す方法論

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ブランド「メディア」のつくり方―人が動く ものが売れる編集術

概要

11人の編集者が、ブランドメディアを作り出す方法論を紹介する。

「R25」 藤井大輔氏

■「HOT PEPPER」は店舗広告を徹底的に集めることで価値を生み出した。これをフリーペーパー1.0とすれば、「R25」はフリーペーパー2.0。広告情報をどこまでエンターテインメントできるか、にこだわる。

■ターゲットはM1層(20~34歳男性)。創刊前の想定読者調査で興味深いことがあった。ほとんどが新聞を読んでいると言うのだが、よく聞いてみるとウソ。新聞は読みたいが情報を消化できず、見栄を張っていたのだ。なら、新聞ネタを800字くらいで明快にまとめたら、隠れたニーズをすくえるんじゃないか、と。

■会議のネタ出しは無記名。毎回250~300本の中から選んでいく。否定せず意見を積み上げるのがコツ。例えば、日米の経営方式の違いというテーマ。最初は食い付きが悪かったが「そういえばCEOってどんな意味?」などと言い換えると、意外に話が膨らんだ。最終的に「CEOと社長、どっちが偉い?」という記事で実現。

■タイアップでも、読者の隠れたニーズを意識する。例えば中国思想をテーマにした映画のタイアップ。ただ思想を解説しても当然読んでくれない。そこで孔子や孟子の名言に着目。「そろそろ座右の銘を持ってみない?」と、背伸びをしたいM1層に刺さるような導入を考案。著名人の座右の銘や思想家を解説し、映画紹介につなげた。

「TVブロス」 小森浩正氏

■特徴は、他のTV誌とは違い何でもできること。たとえば高木ブーの特集「BORN TO BE A BOO…」。何もできないのがブーの魅力?とか、かなりひどい内容。特集の“やり捨て”というか、その後事務所と関係が悪くなってもしばらく特集しないし。突然変異的に誕生したようなテレビ誌だ。

■テーマをどう選ぶかより、決めてからどう構成するかが個性になってる。思い付き、こじつけが多いけど。「お茶漬け無限大」特集は、ごはんに何かのせればお茶漬けになるから無限の可能性を秘めている、とか…。一応時事性も考える。新庄メジャー行きの際は、帰国後の新庄の職業を考える企画を組んだ。余計なお世話か。

■こだわるポイントは指示する。例えばお茶漬け特集なら「あえてまずいお茶漬けを作る」とか、ラーメン特集だったら「ラーメンズの名前の由来」とか。売れたのはan・anをパクった「好きな男・嫌いな男」特集。もちろん、好きなはぐれ刑事の同僚は?のように質問は異なる。特集タイトルは編集長権限で決めていた。ただ、北斗の拳特集では、いいものが思いつかず「ひでぶっ!」に決めた。

■テレビ誌でこれだけ特殊な発想の雑誌は空前絶後。やはり奇跡的な存在の雑誌だと思う。

元光文社「新書編集」 柿内芳文氏

■新書のタイトル付けは4つの指標がある。
(1)身近度/日常生活でおなじみの言葉を使う
(2)中身度/本の中身をどれだけ的確に表しているか
(3)対話度/タイトルを見た読者に、なんらかの突っ込みを喚起する
(4)衝撃度/インパクト。ひっかかり
まず想定ターゲットにきちんと届けるにはどの指標を重視すればいいかを考える。インパクトはその後。

■例えば自分が担当した本で。
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」は、心の奥底に潜む疑問だけに対話度は高い。“さおだけ屋”が“潰れない”という表現は衝撃度も高く、わかりやすいキーワードで身近度もまずまず。

「若者はなぜ3年で辞めるのか?」はもともと「~なぜすぐ辞めるのか?」だった。3年という表現に変えたのは“3年といえば、あいつも…”と身近な人のイメージが湧くため。疑問形タイトルで対話度も高い。

「4‐2‐3‐1」は数字だけという、新書では前代未聞のタイトル。一般人には意味不明だが、サッカーファンにとっては身近度・中身度が満点。ターゲット層に的確に届く。

「就活のバカヤロー」は自分の就活経験時の鬱憤をそのままタイトルに。大学生に支持されている。身近だし、就活に否定的だという中身も伝わる。何よりバカヤローのインパクト。各指標バランスよくできた。

■新書にとってタイトルは広告だから、すごく大事。この方法論に至るまでには失敗作もあった。「地団駄は島根で踏め」は語源の本だが、内容が分かりにくいし漢字だらけで目に飛び込んでこない。「非属の才能」の非属は“群れない生き方”の造語だが、身近さに欠けた。

■新書はパッケージが決まっているが中身はフリー。いろいろ試してみたい。日常生活でも、いろんな出来事をつねに改善できないかという視点で考えている。編集に限らず、人生にも不可欠な考え方だと思う。

※3人を抜粋紹介。ほかYahoo!の奥村倫弘氏、ブルータスの西田善太氏など。

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