デリバティブ汚染の実態(吉本佳生)

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デリバティブ汚染――金融詐術の暴走 (講談社BIZ)

デリバティブ汚染の実態

◆金融工学は、現実には「安全の偽装技術」として使われた。

◆デリバティブはリスクを濃縮する。

◆仕組債・仕組預金とは、デリバティブを組み込んだ債権・預金。

◆多くの地方自治体が買ったPRDC債、FXターン債とは:
 最初に大きな利益を生む商品設計になっている。なぜか(笑)運用成績は円相場と連動する。
 元本割れはないとしているが、償還期限は成績により最長で30年(笑)。

◆デリバティブにどっぷり浸かっている朝来市の、投資初年度のの高利回りを、手堅い投資だとべた褒めする朝日新聞の記事が掲載されている。これはひどい。

◆中長期投資の「元本保証」は無意味だ。貨幣の購買力は年月とともに下がる。

高金利のワナ

◆(国などを対象とする)安全な金利=今後予想される物価上昇率+数%の上乗せ

◆個人などが借りるときの金利=安全な金利+信用リスクに応じた上乗せ(リスクプレミアム)

◆金利が高い商品は、元本が帰ってこないリスクが高いと考えるべき。その上乗せ金利はリスクプレミアムである。

◆国債よりも高金利で、元本保証をうたっている金融商品はアヤシイ。

◆固定金利国債の基本性質
 価格が変動するので、元本を減らすリスクがある。インフレに弱い。

◆普通預金の金利はインフレに応じて自動的に上がるから、実はネット銀行の普通預金が最強の投資方法。

円相場の基本的な考え方

◆円相場の変動は予想できない。

◆短期(数ヶ月~数年)では金利、長期では物価に左右されやすい。
 ・いまの日本円のような低金利通貨は、短期では円安になりやすい。
 ・しかし相対的に物価の上がらない日本のような国の通貨は、長期的には高くなる。
 ・金利が低いことは物価が低いことであり、同じ要因が長期と短期の為替変動を真逆に変動させる。これが為替の予想を困難にする。

◆高金利通貨は、しばらくは高くなりやすいが、やがて物価を反映して安くなる。

◆流動性の高い商品は、イザという時は売ることでリスクを回避できる。
 しかし、満期、解約時期に関する選択権のない債権は、どんなリスクをも引き受けるという意味を含む。

◆デリバティブ販売の一番の目的は、利益の先食いだ。

◆販売時点で、すべての利益を計上することになっている。メガバンクでもそう会計処理している。

感想

 ある程度の金融知識がないと読みにくいかもしれませんが「気前のいい金庫くんのお話」という挿話が要所要所に織り込まれていて、その部分だけでも読めば「アヤシイ金融商品」の実態をイメージできると思います。

 世の中には、利回りの良い商品がある。しかし利率が高いということは「リスクが高い」のと同意義である。つまり金利の上乗せ分はリスクプレミアである。
 そんな単純な原理を知っていればAIJのような問題も起こらなかったのだが・・・

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