若い女性の瑞々しい感覚が、57577のリズムで紹介される名書「サラダ記念日」

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サラダ記念日―俵万智歌集

本書の概要

若い女性の瑞々しい感覚が、5・7・5・7・7のリズムで。今の同世代(20歳前後)の女性は、どのように感じるのでしょうか。

八月の朝

  思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ

  午後四時に八百屋の前で献立を考えているような幸せ

  「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

  ハンバーガーショップの席を立ち上がるように男を捨ててしまおう

野球ゲーム

  皮ジャンにバイクの君を騎士として迎えるために夕焼けろ空

  潮風に君のにおいがふいに舞う 抱き寄せられて貝殻になる

  「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの

  我だけを想う男のつまらなさ知りつつ君にそれを望めり

朝のネクタイ

  「また恋の歌を作っているのか」とおもしろそうに心配そうに

風になる

  待つことの始まり示す色をして今日も直立不動のポスト

  「おまえオレに言いたいことがあるだろう」決めつけられてそんな気もする

  万智ちゃんがほしいと言われ心だけついていきたい花いちもんめ

  我という三百六十五面体ぶんぶん分裂して飛んでゆけ

  29になって貰い手ないときは連絡しろよといわせておりぬ

夏の船

  今日までに私がついた嘘なんてどうでもいいよというような海

  ひまわりの黄色をいくつかちりばめてシルクロードへ続くこの道

  パスポートぶらさげている俵万智いてもいなくても華北平原

モーニングコール

  「人生はドラマチックなほうがいい」ドラマチックな脇役となる

  いつもより一分早く駅に着く 一分君のこと考える

橋本高校

  万智ちゃんを先生と呼ぶ子らがいて神奈川県立橋本高校

  吾大、克二、健一、秀明ーーそれぞれに命名をせし高ぶりを読む

  数学の試験監督する我の一部始終を見ている少女

待ち人ごっこ

  君を抱くティンカーベルになりたくてパールピンクのフラットシューズ

  泣いている我に驚く我もいて恋は静かに終わろうとする

  ガーベラの首を両手で持ちあげておまえ一番好きなのは誰

  ため息をどうするわけでもないけれど少し厚めにハム切ってみる

  思い出はミックスベジタブルのよう けれど解凍してはいけない

  「クロッカスが咲きました」という書きだしでふいに手紙を書きたくなりぬ

サラダ記念日

  サ行音ふるわすように降る雨の中遠ざかりゆく君の傘

  ゆく河の流れを何にたとえてもたとえきれない水底の石

  会うまでの時間たっぷり浴びたくて各駅停車で新宿に行く

  明日まで一緒にいたい心だけホームに置いて乗る終電車

  「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

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感想

「サラダ記念日」がもしなかったら、
今の日本は少し違ったものになっていたのではないかと思う。

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