女性ユーザーに絶大な支持を得るレシピサイト「クックパッド」が人気の理由

4389views折笠 隆折笠 隆

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600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書)

概要

女性ユーザーに絶大な支持を得るレシピサイト「クックパッド」。その人気の理由を探る。

クックパッドについて

月間600万人(3.4億PV)が訪れるレシピ投稿・検索サイト。ユーザーの96.5%は女性で、とくに30代女性は人口の26%が同サイトの利用者。満足度が高く、3分の2はほぼ毎日サイトを訪問。レシピ数は50万件に及び、レシピコンテストのような、ユーザー参加の人気企画も主催する。

創業は佐野陽光氏。「料理をきっかけに人々の笑顔を増やしたい」との思いから、98年4月にクックパッドの事業を始めた。当初は経営難だったが、やがて一度も宣伝広告を打たずNo.1レシピサイトに成長させる。

なぜ女心をつかんだのか

支持される理由は「謙虚さ」。作り手の都合を押しつけず、すべてがユーザーにとって使いやすいように設計されている。以下、具体例をまとめる。

■ユーザーの欲求を分析。献立をすぐ決めたい、家族を喜ばせたい、冷蔵庫の残りものを活用したい…。あらゆる状況を洗い出し、対応する機能を作る。

■レシピ投稿は、材料欄と手順欄を間違えないよう、適当な文字数以上入力できない仕組み。写真はきれいに見えるように自動トリミング。入力が楽しくなる。

■何を記入する欄なのか、説明ではなく動線だけで把握できるようにする。説明を読めというのは傲慢でレベルが低いとの認識。「優れたものは無言語」と佐野氏。

■じゃがいもとポテトとメークイン、卵と卵黄…。微妙に異なる入力ワードに対しても、的確なレシピが提供できるよう気を遣う。精度が高まると満足度も上がる。

■掲示板はあえて設けない。関東と関西で味付けの議論が始まったりしたら、楽しいはずの料理が楽しくなくなる。不穏な空気を生まない環境づくりにこだわる。

■文字はなるべく13文字以内に収める。それ以上長いと読みにくく、クリック率が下がるからだ。またユーザーの意見記入欄を設け、24時間以内に対応する。

サービスを実現するテクノロジー

■技術は道具であって目的ではない。「なんのためにその技術(ウェブ)を使うのか」というビジョンがなく、漫然とウェブに進出しても失敗するだけだ。ネットの強みは、やりたい事業をする際のコストが下がること。

■リアルとウェブは同じだが、ひとつ違うのは「動線でユーザーを楽しませる」こと。そこでアクセスログを解析。ユーザーが次にどのページに飛ぶかの予測や印刷率(使おうとした証拠で満足度が高い)を分析し適切なページを提示する。

■多忙な主婦のストレスを軽減するため、レスポンス(反応速度)にはこだわる。アクセスが殺到する16:00前後の混乱を避けるため、検索を予測して前処理し負担を分散。大規模な処理ができるプログラム言語「Ruby」の導入が大きい。

■社内の三原則は「無言実行」「値段をつける」「無言語化」。それぞれ、前もって口に出すメリットはない、無料でないと使われないようなサービスは結局使えない、説明が必要なサービスは不完全、ということ。ロジック重視の社風を象徴する。

広告を見た人から「ありがとう」といわれるサイト

クックパッドの広告は、ユーザーの顔も見ずに情報を大量投下するマス広告とは対極にある。たとえばクライアントの商品を使ったレシピコンテストの開催。商品は認知度が高まり実売が増え、投稿する主婦は入選すれば大喜び。このWinWinの状態を拡張し、以下の三本柱で広告モデルを成功させる。

(1)定番商品の底上げ/焼肉需要の減少に悩むエバラ焼肉のタレに対し、焼肉以外でタレを使うレシピを募集。レシピストックを増やしつつ、需要も掘り起こす。

(2)ロングテール型商品の発掘/パナソニックの定番「電気圧力なべ」について、ユーザーに体験レポートを募って掲示。便利さが再評価され売上が26倍に。

(3)新商品の立ち上げ/パスコの超熟は、担当者が試食会に参加しおいしい食べ方をプレゼン。商品購入者がそれを見て試食レポートをアップし盛り上がる。一方通行のCMでは難しいWinWinのプロモーションが実現した。

さらに、616万人ユーザーのアクセス情報をまとめたデータベース「たべみる」を法人向けに販売。地域別アクセスや週ごとの注目度の上下などが一目瞭然。ある食材が意外な季節に人気があったりと具体的に示されるので、消費者の隠れたニーズをすくった戦略立案に絶大な効果を誇る。

経営とマネジメント

専用キッチンを作るなど、職場の環境づくりには金を惜しまない。いい環境で働くことが仕事の質を上げる。目的に最速でたどり着く人を評価するため、ノー残業手当を支給。会議は、週ごとの目標を逐一プレゼンさせ、社内共有を図る。

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